皆さんこんにちは。都市環境サービスの前田です。今回のテーマは「産廃処理費の値上げ」です。工場や建設現場から出る産業廃棄物の処理費用が、ここ数年で大きく上がっていることをご存知でしょうか?

実は産廃処理費は、2019年以降に2~3倍、品目によっては5倍もの値上げが起きているんです。この値上げは一時的なものではなく、今後も続く可能性が高いと言われています。本記事では、産廃処理費が値上げする理由から、企業が取り組めるコスト削減の具体的な対策まで詳しく解説していきます。
目次は以下の通りです。
① 産廃処理費の値上げ状況
② 産廃処理費が上がる5つの理由
③ 値上げの影響を受ける業種
④ 処理費を抑える6つの方法
⑤ 今後の見通しと準備
産廃処理費の問題は、企業の経営に直結する重要なテーマなんです。適切な対策を知ることで、コスト削減と環境保護の両立が可能になります。ぜひ最後までご一読ください。
産廃処理費の値上げ状況
まずは、産廃処理費が実際にどれくらい値上げしているのか、具体的な数字を見ていきましょう。
実際の値上げ幅
産業廃棄物の処理費用は、ここ数年で大幅に上昇しています。2019年4月から、多くの処理業者が処理費用を2~3倍に引き上げました。特に廃プラスチック類では、一部の品目で5倍にも達する値上げが報告されているんです。
2024年には、処理業者が約25%の値上げを実施したケースも見られます。この値上げは全国的な傾向で、地域による差はあるものの、ほぼすべての都道府県で処理費用が上昇しています。企業向けサービス価格指数を見ても、産業廃棄物処理の価格は右肩上がりの状況が続いているんですよ。
処理費の相場
産業廃棄物の処理費用は、廃棄物の種類によって大きく異なります。現在の主な相場は以下になります。
廃プラスチック類:30~80円/kg
木くず:10~60円/kg
がれき類:30~80円/kg
金属くず:0~40円/kg
廃石綿等:100~200円/kg
これらの金額は処分費の目安で、実際には収集運搬費が別途かかります。また、廃棄物が混ざっている場合は、最も高い単価が適用されることが多いんです。地域や処理業者、廃棄物の状態によっても金額は変わってきますので、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

産廃処理費が上がる5つの理由
では、なぜ産廃処理費がこれほど上がっているのでしょうか。主な理由を5つに分けて説明します。
最終処分場の不足
産廃処理費が上がる最も大きな理由は、最終処分場の深刻な不足です。最終処分場とは、リサイクルや焼却処理ができない廃棄物を埋め立てる施設のことを指します。
現在、国内の最終処分場は残り容量が年々減少しています。新しい処分場を作ろうとしても、近隣住民からの反対運動が起こることが多く、建設が進まない状況なんです。環境汚染への懸念から、地域住民が反対するのは当然のことでしょう。結果として、既存の処分場に廃棄物が集中し、2~3時間待ちの行列ができることも珍しくありません。需要に対して供給が追いつかないため、処理費用が上昇しているんですよ。
中国の輸入規制
2018年1月、中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことが、処理費高騰の引き金になりました。それまで日本は、年間約130万トンもの廃プラスチックを中国に輸出していたんです。
中国の輸入禁止後、日本はマレーシアやタイ、ベトナムなどの東南アジア諸国への輸出を増やしました。しかし、これらの国々も2018年後半から次々と輸入規制を強化し始めたんです。結果として、海外で処理できていた大量の廃棄物が国内に残ることになり、国内の処理施設への負担が急激に増加しました。この状況が、処理費用の値上げにつながっているんですよ。
人手不足と人件費
産業廃棄物処理業界は、慢性的な人手不足に悩まされています。公益社団法人全国産業資源循環連合会の調査では、約50%の企業が「従業員の不足」を経営上の問題点として挙げているんです[1]。
人手不足の解消には賃金の引き上げが必要ですが、産廃業界の賃金は他業種と比べて低い傾向にあります。さらに働き方改革により、労働時間の短縮や労働環境の改善が求められているため、人件費は上昇し続けています。2024年には「人件費高騰」による倒産が過去最多を記録しました。こうした人件費の増加が、処理費用の値上げという形で転嫁されているんですよ。
燃料費や物価の上昇
産業廃棄物の処理には、収集運搬と処理施設の運営に多くのエネルギーが必要です。近年の燃料費高騰は、処理費用に大きな影響を与えています。
トラックでの運搬には軽油が、焼却処理には重油や電気が使われます。これらの燃料費が上昇すれば、当然ながら処理コストも上がるんです。また、処理施設の設備更新や修繕にかかる資材費も高騰しています。物価全体が上昇している中で、産廃処理業者も経営を維持するために、やむを得ず処理費用を引き上げざるを得ない状況なんですよ。
自然災害の増加
近年、台風や豪雨などの自然災害が増加しています。災害が起きると、大量の災害廃棄物が発生するんです。
倒壊した建物の瓦礫や、水害で使えなくなった家具や家電など、通常の何倍もの廃棄物が一度に処理施設に運び込まれます。この災害廃棄物の処理が優先されるため、通常の産業廃棄物の受け入れに制限がかかることもあるんですよ。処理施設のキャパシティを超える需要が続くことで、需要と供給のバランスが崩れ、処理費用の上昇につながっているんです。

値上げの影響を受ける業種
産廃処理費の値上げは、さまざまな業種に影響を与えています。特に影響が大きい業種を見ていきましょう。
建設業への影響
建設業は、産業廃棄物を最も多く排出する業種の一つです。解体工事では、コンクリートがれきや木くず、金属くずなど、多種多様な廃棄物が発生します。
産廃処理費の値上げは、解体工事費用の上昇に直結するんです。新築工事や改修工事でも、建設廃材の処理費用が工事全体のコストを押し上げています。特に小規模な工務店では、値上げ分を工事費用に転嫁することが難しく、利益率の低下に悩むケースが増えているんですよ。建設業界全体として、廃棄物削減や分別の徹底など、コスト対策が急務となっています。
製造業への影響
工場からは、製造過程で多くの産業廃棄物が発生します。廃プラスチック、金属くず、汚泥など、製品の種類によって排出される廃棄物も異なるんです。
処理費用の上昇は、製品の製造コストを押し上げる要因になっています。特に利益率の低い製品を扱う企業では、処理費の増加が経営を圧迫しているケースも見られます。大企業では処理費の値上げを製品価格に転嫁できることもありますが、中小企業では難しい状況です。製造工程の見直しや、廃棄物の削減に取り組む企業が増えているんですよ。
小売業への影響
小売業でも、店舗改装や什器の入れ替え時に産業廃棄物が発生します。また、商品の包装資材や段ボールなども、事業系の廃棄物として処理が必要なんです。
複数の店舗を展開している企業では、各店舗からの廃棄物処理費用が積み重なり、大きなコスト負担となっています。特にスーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、食品トレイや包装フィルムなどの廃プラスチックが日々大量に発生するため、処理費の値上げの影響は無視できません。環境配慮と同時に、コスト管理の観点からも廃棄物削減が重要な課題になっているんですよ。

処理費を抑える6つの方法
値上げが続く中でも、工夫次第で処理費用を抑えることは可能です。効果的な6つの方法をご紹介します。
廃棄物の分別を徹底
処理費を削減する最も基本的な方法は、廃棄物をしっかり分別することです。複数の種類の廃棄物が混ざっていると、最も高い単価が適用されてしまうんです。
例えば、木くずと廃プラスチックが混ざっていた場合、廃プラスチックの高い単価で計算されます。分別を徹底することで、それぞれの品目ごとに適正な料金で処理できるんですよ。社員全員で分別の意識を高めることが、コスト削減の第一歩なんです。

複数業者から見積もり
長年同じ処理業者に依頼していませんか。処理業者によって、料金設定や得意とする廃棄物の種類が異なります。
定期的に複数の業者から見積もりを取ることで、適正な相場を把握できるんです。見積もりを比較する際は、単価だけでなく、収集頻度や契約期間、追加費用の有無なども確認しましょう。
ただし、極端に安い業者には注意が必要です。不適正な処理をしている可能性もあるため、処理施設の見学や許可証の確認をおすすめします。信頼できる業者と適正価格で契約することが、長期的なコスト削減につながるんですよ。
排出量そのものを削減
処理費用を根本的に減らすには、廃棄物の排出量自体を減らすことが効果的です。まずは、どこでどんな廃棄物がどれだけ発生しているのか、現状を把握しましょう。
製造工程の見直しや、原料の変更によって、廃棄物の発生を抑えられることがあります。例えば、梱包材を再利用可能なものに変更したり、製品設計を見直して端材を減らしたりする方法があるんです。
初期投資は必要ですが、長期的に見れば大きなコスト削減になります。従業員向けに勉強会を開催し、廃棄物削減の意識を全社で共有することも大切なんですよ。
リサイクルの活用
廃棄物として処理するのではなく、リサイクル可能なものは資源として活用しましょう。特に「専ら物」と呼ばれる古紙、金属くず、空き瓶、古繊維は、適切に分別すれば有価物として買い取ってもらえることが多いんです。
リサイクルに回すことで、処理費の支払いから売却収入への転換が可能になります。廃プラスチックも、種類や状態によってはリサイクル業者に引き取ってもらえる場合があるんですよ。
ただし、汚れていたり異物が混入していたりすると、買い取ってもらえないこともあります。きれいな状態で保管し、品質を保つことがポイントなんです。
収集運搬費の見直し
処理費用は、処分費だけでなく収集運搬費も含まれています。運搬費を最適化することで、コスト削減が可能なんです。
回収頻度を見直し、廃棄物が一定量たまってから回収してもらうようにすれば、運搬費を減らせます。また、複数の事業所がある場合は、まとめて回収してもらうことで単価を下げられることもあるんですよ。
ただし、廃棄物をためすぎると、保管場所の問題や衛生面での課題が出てきます。適切なバランスを見つけることが重要です。処理業者と相談しながら、最適な回収計画を立てましょう。
専門家への相談
自社だけでは対策が難しい場合は、環境コンサルタントなどの専門家に相談するのも一つの方法です。廃棄物管理の専門家は、業種ごとの特性を理解し、最適な削減策を提案してくれるんです。
コンサルタントは、現場を調査して無駄を見つけ出し、具体的な改善計画を立ててくれます。処理業者の選定から契約交渉、マニフェスト管理まで、幅広くサポートしてもらえることもあるんですよ。
費用はかかりますが、長期的に見れば大幅なコスト削減につながるケースが多いです。特に廃棄物の種類が多い企業や、排出量が多い企業には効果的な方法なんです。

今後の見通しと準備
最後に、今後の産廃処理費の動向と、企業が今からできる準備について見ていきましょう。
2025年以降の予測
残念ながら、産廃処理費の値上げ傾向は2025年以降も続くと予測されています。最終処分場の不足は解消される見込みが立っておらず、新設も容易ではないためです。
人手不足や燃料費高騰といった構造的な問題も、短期間で解決することは難しいでしょう。さらに、環境規制の強化により、処理基準が厳しくなる可能性もあります。
一方で、国内でのリサイクル技術の向上や、処理施設の効率化により、一部の品目では価格が安定する可能性もあるんです。企業としては、値上げを前提とした予算計画を立てる必要があるんですよ。
企業が今すべきこと
値上げに備えて、今から準備を始めることが重要です。まずは、信頼できる処理業者との関係を構築しておきましょう。処理能力に余裕のある業者を複数確保しておくことで、急な値上げや受け入れ停止のリスクに対応できます。
次に、廃棄物削減の計画を立て、実行に移すことです。目標を設定し、定期的に進捗を確認しながら改善を続けていくことが大切なんですよ。また、社員への教育研修を行い、分別やリサイクルの重要性を共有しましょう。
全社員が廃棄物管理の意識を持つことで、確実にコスト削減につながります。早めの対策が、将来の大きな差になるんです。
まとめ
産廃処理費の値上げは、最終処分場の不足、中国の輸入規制、人手不足など、複合的な要因で起きています。建設業や製造業をはじめ、多くの業種が影響を受けており、今後も値上げは続く見込みです。
しかし、廃棄物の分別徹底や業者の見直し、排出量の削減など、企業の取り組み次第でコストを抑えることは十分可能なんです。値上げを避けられないからこそ、今から対策を始めることが重要なんですよ。
まずは自社の廃棄物の種類と量を把握し、できることから始めてみてください。小さな改善の積み重ねが、大きなコスト削減につながります。環境保護と経営効率の両立を目指して、今日から行動を起こしましょう。
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