スーパーエンプラとは?特徴・種類・用途を分かりやすく解説-都市環境サービス

皆さんこんにちは。都市環境サービスの前田です。今回のテーマは「スーパーエンプラ」です。自動車部品や電子機器の部品として使われているプラスチック、その中でも特に高性能なものがあることをご存知でしょうか?

 

PP・PE(ポリプロピレン・ポリエチレン)のリサイクル,都市環境サービス

 

実は、普通のプラスチックを遥かに超える性能を持つ「スーパーエンプラ」という素材があるんです。熱に強く、金属の代わりにも使える優れた材料として、様々な産業で注目されています。本記事では、スーパーエンプラの基礎知識から具体的な種類、用途まで詳しく解説していきます。

 

目次は以下の通りです。

 

①スーパーエンプラとは何か
②スーパーエンプラの特徴
③スーパーエンプラの主な種類
④スーパーエンプラの用途
⑤スーパーエンプラの市場動向
⑥スーパーエンプラの価格相場
⑦スーパーエンプラの加工方法
⑧スーパーエンプラの歴史
⑨スーパーエンプラの選び方

 

スーパーエンプラは現代のものづくりを支える重要な材料なんです。ぜひ最後までご一読ください。

スーパーエンプラとは何か

スーパーエンプラについて理解するために、まずは基本的な定義から見ていきましょう。

スーパーエンプラの定義

「スーパーエンプラ」というのは、「スーパーエンジニアリングプラスチック」の略です。簡単にいうと、150℃以上の高い温度でも長い時間使えるくらい、熱にとても強い特別なプラスチックのことを指します。

 

さらに、目安のひとつとして「引っ張る強さが49MPa以上あること」という条件もあります。49MPaというのは、たとえば細いプラスチックの棒を引っ張ったときに、1平方センチあたり約5トンの力がかかっても切れないくらいの強さを意味しています。

 

この素材は、普通のプラスチックが持つ「熱に弱い」「強度が低い」という弱点を克服するために開発されました。分子構造にベンゼン環やフッ素を含むことが多く、これにより優れた耐熱性と機械的強度を実現しているんですね。金属材料の代替素材としても注目されており、自動車部品、住設関連部品、バルブやポンプなど、幅広い分野で活用されています。

エンプラとの違い

スーパーエンプラとエンプラ(エンジニアリングプラスチック)の違いは、主に耐熱性にあります。エンプラは一般的に100℃以上の耐熱性を持つプラスチックなんですが、スーパーエンプラはそれを上回る150℃以上の耐熱性を持つんですよ。

 

エンプラの代表例としては、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)などがあります。これらも十分に高性能な材料ですが、より厳しい環境条件が求められる用途では、スーパーエンプラが選択されます。耐熱温度の違いにより、使用できる環境や用途が大きく異なるんですね。

汎用プラスチックとの違い

汎用プラスチックとスーパーエンプラの違いは非常に大きく、まるで別の材料と言えるほどです。汎用プラスチックは耐熱温度が100℃未満で、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが代表例ですね。

 

価格面でも大きな差があるんです。汎用プラスチックのポリプロピレンが1kg当たり約200円なのに対し、スーパーエンプラのPEEKは1kg当たり2〜3万円と、約100倍の価格差があります。しかし、その分性能も格段に優れており、用途に応じて適切な材料を選択することが重要なんです。

スーパーエンプラの特徴

スーパーエンプラが注目される理由は、その優れた特性にあります。具体的にどのような特徴があるのか見ていきましょう。

高い耐熱性(150℃以上)

スーパーエンプラの最大の特徴は、高い耐熱性です。150℃以上の高温環境で連続使用が可能で、種類によっては260℃以上に耐えるものもあるんですよ。この耐熱性により、自動車のエンジン周辺部品や電子機器の高温部分での使用が可能になります。

 

例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)は280〜290℃という非常に高い耐熱性を持つんです。PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の連続使用温度は250℃に達します。この高い耐熱性により、従来は金属でしか対応できなかった高温環境での使用が可能になり、軽量化とコスト削減を同時に実現できるんです。

優れた機械的強度

スーパーエンプラは機械的強度にも優れています。引張強度、曲げ強度、衝撃強度などの各種強度試験で高い数値を示し、金属代替部品として活用できる水準の強度を持っているんですね。高温時でも強度を維持する特性があり、厳しい使用環境でも信頼性を発揮します。

 

この強度の高さは分子構造に由来するんです。スーパーエンプラの分子鎖は長く、分子同士が強固で均一的な結合を形成するため、高い強度を実現できます。また、ガラス繊維や炭素繊維を充填することで、さらに強度を向上させることも可能なんです。

耐薬品性と寸法安定性

スーパーエンプラは優れた耐薬品性を持ちます。酸やアルカリ、有機溶剤などに対して高い耐性を示し、化学プラントや医療機器での使用に適しているんですね。特にフッ素を含むスーパーエンプラは、ほぼ全ての化学物質に対して耐性を持つんですよ。

 

寸法安定性も重要な特徴の一つです。温度変化や湿度変化に対して寸法変化が少ないため、精密部品での使用が可能なんです。この特性により、長期間にわたって安定した性能を維持できます。医療機器や精密機械部品では、この寸法安定性が特に重要視されています。

電気絶縁性と難燃性

スーパーエンプラは優れた電気絶縁性を持ちます。高温環境でも電気絶縁性を維持するため、電気・電子部品での使用に適しているんですね。コネクタ、スイッチ、リレーなどの電子部品で広く使用されており、電気を通してはいけない部品には欠かせない特性なんです。

 

難燃性についても優れた特性を示します。UL94V-0規格に適合する自己消化性を持つものが多く、火災安全性が重要視される用途での使用が可能なんです。この難燃性により、安全性が求められる電気機器や建材での使用が広がっているんです。

スーパーエンプラの主な種類

スーパーエンプラには多くの種類があり、それぞれ異なる特性を持っています。主要な種類を詳しく見ていきましょう。

PPS(ポリフェニレンサルファイド)

PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、代表的なスーパーエンプラの一つです。280〜290℃という非常に高い耐熱性を持ち、機械的強度、耐薬品性、寸法安定性に優れているんですね。電気絶縁性も高く、UL94V-0規格に適合した優れた難燃性を持ちます。

 

PPSは単体では脆いため、ガラス繊維や炭素繊維を充填したフィラー強化グレードが使用されることが多いんですよ。自動車のエンジン周辺部品、電装部品、半導体装置部品、SMTコネクターなどの電気電子分野で活躍しています。世界市場では2022年の販売量予測が約15万トン、2027年予測が約20万トンと、需要増加が見込まれているんです。

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、連続使用温度250℃の結晶性樹脂です。熱可塑性樹脂として最高クラスの融点334℃を持ち、耐薬品性、機械的強度、耐熱水性、疲労特性、衝撃特性などに優れているんですね。別名「ピーク」とも呼ばれ、スーパーエンプラの中でも最もポピュラーな素材なんです。

 

PEEKの特徴は高温時に機械的性能が良くなることです。耐放射線性、耐スチーム性も優れており、医療機器、半導体機器、液晶製造機器、検査装置、製造用治具などで使用されています。価格は高価なんですが、その優れた性能により航空宇宙から医療分野まで幅広く利用されているんです。

フッ素樹脂(PTFE)

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は、1947年に米国デュポン社によって販売が開始されたスーパーエンプラの先駆けです。テフロンの商品名でも知られ、優れた耐熱性、耐薬品性、非粘着性を持ちます。ほぼ全ての化学物質に対して耐性を持つため、化学プラントでの使用に適しています。

 

PTFEは摩擦係数が非常に小さく、自己潤滑性に優れています。調理器具のコーティング、ガスケット、チューブ、テープ、表面コーティングなどに使用されています。ただし、耐紫外線性には劣るという欠点もあります。孔の大きさを容易にコントロールできるため、フィルターなどの分離膜材としても活用されています。

PSU・PES(ポリスルホン系)

PSU(ポリスルホン)とPES(ポリエーテルサルファイド)は、ポリスルホン系のスーパーエンプラです。PSUは連続使用温度170℃の透明樹脂で、耐熱性、寸法安定性、耐加水分解性、食品衛生性、透明性に優れています。電子部品、ICソケット、コネクター、スイッチなどで使用されているんです。

 

PESは連続使用温度170℃で、強靭な機械特性(耐クリープ、耐衝撃性)、耐薬品性、耐加水分解性などを有します。透明性も高く、医療機器や食品機械部品での使用が可能です。160℃オートクレーブ(湿熱下)で90%以上の強度保持率を示し、優れた耐加水分解性を保有しています。

LCP(液晶ポリマー)

LCP(液晶ポリマー)は、耐熱性、難燃性に優れ、特に低吸水性、成形性に優れているスーパーエンプラです。分子が液晶状態を形成するため、非常に優れた流動性を持ちます。ガラス繊維を混ぜ込んだGFRPとして、コネクタ、コネクタケースなどの電装品に使用されているんです。

 

LCPは5G通信の進展による電子部品の高密度化や、スマートフォンカメラの多眼化に対応するため、需要が増加しています。世界市場では2027年予測が6万7,160トン(2021年比18.0%増)と、大幅な市場拡大が予想されています。燃料タンクなどへの応用も期待されており、将来性の高い材料なんですよ。

スーパーエンプラの用途

スーパーエンプラは様々な産業分野で活用されています。具体的な用途を分野別に見ていきましょう。

自動車部品での活用

スーパーエンプラは自動車産業で最も多く使用されている分野の一つです。エンジン周辺部品、電装部品、センサー部品など、高温環境や高い信頼性が求められる部分で活用されています。特にEV化の進展により、電動部品や電装部品での需要が急速に拡大しています。

 

具体的な部品としては、エンジン部品、トランスミッション部品、アクチュエーター、ギア、ベアリング、ワッシャー、シール、クラッチング、HVインバータ、パワーモジュール部品などがあります。PPSは特に電装品の複数センサーを組み込んだモジュール化が進んでおり、部品の大型化によりPPSの使用量が増加しているんです。

電子・電気機器部品

電子・電気機器分野では、スーパーエンプラの優れた電気絶縁性と耐熱性が活用されています。SMTコネクタ、ボビン、リレー、モーター部品、ICソケット、スイッチ、プリント基板などで使用されています。5G通信の進展により、電子部品の高密度化や内部基盤の多層化が進んでいます。

 

スマートフォンの高機能化に伴い、カメラの多眼化や高性能化でLCPの需要が増加しています。また、高温での半田付けプロセスに対応するため、PEEKなどの高耐熱性材料が重要な役割を果たしています。電気絶縁性が高いため、電気を通してはいけない部品には欠かせない材料となっているんです。

医療機器への応用

医療機器分野では、スーパーエンプラの生体適合性、耐薬品性、滅菌耐性が重要視されています。医療用中空糸膜、医療機器部品(内視鏡、透析器など)、インプラント、手術器具などで使用されています。特にPEEKは生体適合性に優れているため、インプラント材料として注目されているんです。

 

医療機器では滅菌処理が必要ですが、スーパーエンプラは高温滅菌や放射線滅菌に対応できます。また、薬品に対する耐性も高いため、消毒や洗浄にも対応可能です。医療分野では安全性が最優先されるため、信頼性の高いスーパーエンプラの需要が継続的に拡大しいるんですよ。

航空・宇宙産業での利用

航空・宇宙産業では、軽量化と高い信頼性が求められるため、スーパーエンプラが重要な役割を果たしています。航空機内装、エンジン部品、構造部品、電子機器部品などで使用されています。高温・高圧環境や放射線環境でも安定した性能を発揮するため、宇宙機器での使用も拡大しているんです。

 

航空機では燃費向上のための軽量化が重要な課題です。金属部品をスーパーエンプラに置き換えることで、大幅な軽量化を実現できます。また、航空機内装では難燃性が重要視されるため、UL94V-0規格に適合するスーパーエンプラが選択されています。宇宙産業の発展に伴い、今後さらなる需要拡大が期待されているんです。

スーパーエンプラの市場動向

スーパーエンプラの市場は着実に成長を続けています。最新の市場動向を詳しく見ていきましょう。

世界市場規模と成長予測

富士経済の調査によると、汎用エンプラ・スーパーエンプラの世界市場は[1]2027年予測で1,237万トン(2021年比15.7%増)となっています。スーパーエンプラ単体では、2022年の販売量予測が約51万トン、2027年予測が約65万トンと、大幅な市場拡大が予想されているんです。

 

2020年は新型コロナウイルス感染症の流行により市場が落ち込みましたが、その後経済活動の再開とともに回復基調にあります。EV化や車載電装化に伴う自動車分野での需要増加、中国やインド・東南アジアなどの経済成長を背景に、市場は毎年5%程度の拡大が続くと予想されています。

自動車EV化による需要増

自動車のEV化(電気自動車化)は、スーパーエンプラ市場にとって大きな成長要因となっています。EVでは従来のガソリン車よりも多くの電装部品が使用されるため、耐熱性と電気絶縁性に優れたスーパーエンプラの需要が急激に増加しています。

 

特にPPSは、自動車の電動部品や電装部品、パワーモジュール部品での使用が拡大しており、2022年の販売量予測が約15万トン、2027年予測が約20万トンと、需要増加が見込まれています。バッテリー関連部品、モーター部品、インバーター部品などでの使用が今後さらに拡大すると予想されているんです。

地域別市場の特徴

スーパーエンプラの地域別市場では、アジアが最大の需要地となっています。中国は世界最大の自動車生産国であり、スーパーエンプラの消費量も最大です。日本は技術開発と高付加価値製品の生産拠点として重要な役割を果たしています。

 

欧州では環境規制の強化により、軽量化材料としてのスーパーエンプラの需要が高まっています。北米では航空宇宙産業や医療機器産業での需要が堅調です。新興国では経済成長に伴い、自動車や電子機器の生産増加により、スーパーエンプラの需要が急速に拡大しています。

スーパーエンプラの価格相場

スーパーエンプラの価格について、具体的な相場と価格差の要因を詳しく見ていきましょう。

汎用プラスチックとの価格差

スーパーエンプラと汎用プラスチックの価格差は非常に大きく、約100〜150倍の差があります。汎用プラスチックのポリプロピレン(PP)が1kg当たり約200円なのに対し、スーパーエンプラのPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は1kg当たり2〜3万円となります。

 

この価格差の要因は、原材料のコスト、製造プロセスの複雑さ、市場の供給と需要のバランスにあるんです。スーパーエンプラは特殊な化学合成プロセスが必要で、製造設備も高額になります。また、需要に対して供給が限られているため、高価格が維持されています。

種類別の価格帯

スーパーエンプラの種類別価格帯は以下になります。

 

価格帯(1kg当たり)
PPS:5,000〜10,000円
PSU:8,000〜15,000円
PES:10,000〜18,000円
PEEK:20,000〜30,000円
PTFE:3,000〜8,000円

 

PEEKが最も高価で、PTFEが比較的安価な部類に入ります。PPSは性能と価格のバランスが良いため、最も多く使用されています。価格は市場状況や原料価格の変動により変化しますが、高性能になるほど価格も高くなる傾向があるんです。

コストと性能のバランス

スーパーエンプラを選択する際は、コストと性能のバランスが重要です。最高性能のPEEKが常に最適な選択とは限らず、用途に応じて適切な材料を選ぶことが重要です。必要な性能レベルを満たす最もコスト効率の良い材料を選択することで、全体的なコストを抑えることができます。

 

金属部品からスーパーエンプラに置き換える場合、材料費は高くなりますが、加工費の削減、軽量化によるメリット、量産効果などを総合的に考慮すると、トータルコストでは有利になる場合が多くあります。ライフサイクルコストを考慮した材料選択が重要なんですよ。

スーパーエンプラの加工方法

スーパーエンプラの加工方法について、代表的な手法とそのポイントを詳しく解説していきます。

射出成形の特徴

射出成形は、スーパーエンプラで最も一般的に使用される成形方法です。加熱して溶かしたプラスチックを金型内に注入して成形します。スーパーエンプラの場合、高い成形温度が必要で、通常のプラスチックよりも厳密な温度管理が求められます。

 

射出成形には複数の技術があります。主要な射出成形技術は以下になります。

 

主要技術
インサート成形
多色成形
異材成形
フィルムインサート成形
フィルムインモールド成形

 

インサート成形では金属部品とプラスチックを一体化でき、多色成形では異なる色や材質のプラスチックを組み合わせることができます。スーパーエンプラは成形難易度が高いため、専用の設備と技術が必要なんです。

切削加工のポイント

スーパーエンプラの切削加工では、材料の特性を理解した適切な加工条件設定が重要です。高硬度で耐熱性が高いため、切削工具の選択と加工条件の設定が成功の鍵となります。工具摩耗が激しいため、適切な工具材質と切削条件の選択が必要なんです。

 

切削加工では熱の発生を抑制することが重要です。高温になると材料が軟化したり、寸法精度が悪化したりする可能性があります。適切な切削速度、送り速度、切り込み量の設定により、高品質な加工が可能になります。冷却液の使用も重要な要素なんですよ。

3Dプリンタでの造形

近年、3Dプリンタ技術の進化により、スーパーエンプラを用いた3D造形が注目されています。デスクトップタイプの3Dプリンタでも高機能樹脂への対応が強化されており、PEEK、PEI(ULTEM)、PPSUなどの材料を用いた造形が可能になりました。

 

3Dプリンタでの造形により、小規模でありながらも高品質な製品を製造できるようになりました。試作や小ロット生産のハードルが下がり、コスト削減や開発期間短縮などの様々なメリットをもたらしています。複雑な形状の部品も一体造形で製造可能で、従来の加工方法では困難だった形状も実現できます。

スーパーエンプラの歴史

スーパーエンプラの発展には長い歴史があります。その発展過程を振り返ってみましょう。

開発の背景

スーパーエンプラの開発は、既存の材料では対応できない厳しい使用環境への対応が背景にありました。1940年代以降、航空宇宙産業、化学工業、電気工業などの発展に伴い、より高い性能を持つ材料が求められるようになりました。

 

特に第二次世界大戦後の技術革新により、従来の金属材料では重量や加工性の面で限界があることが明らかになりました。軽量で加工しやすく、かつ高い性能を持つ新しい材料の開発が急務となり、スーパーエンプラの研究開発が本格的に始まりました。

主要な開発マイルストーン

スーパーエンプラの歴史は1947年から始まります。主要な開発マイルストーンは以下になります。

 

開発年表
1947年:PTFE開発(デュポン社)
1966年:PSU開発
1971年:PPS開発
1972年:PES開発
1973年:PAR開発(日本)

 

最初のスーパーエンプラは1947年に米国デュポン社が販売したPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)でした。その後、1960年代から1970年代にかけて次々と新しいスーパーエンプラが開発され、現在に至るまで継続的な開発が続いているんです。

日本での普及

日本では1960年代の高度経済成長期に、大量生産の時代を迎えました。従来の金属に代わり、「軽く、加工性に優れ、安価な」エンプラのニーズが高まり、次々に新しいエンプラが開発されました。1973年には日本独自のPAR(ポリアリレート)が開発されたんです。

 

日本の製造業では、自動車産業、電子産業の発展とともにスーパーエンプラの需要が急速に拡大しました。高い品質要求に応えるため、日本企業は独自の技術開発を進め、現在では世界をリードする技術力を持っています。現在も研究開発が続いており、新しいスーパーエンプラの開発が期待されているんですよ。

スーパーエンプラの選び方

適切なスーパーエンプラを選択するためのポイントを詳しく解説していきます。

用途に応じた材質選択

スーパーエンプラの選択では、まず使用環境と要求性能を明確にすることが重要です。耐熱温度、機械的強度、耐薬品性、電気特性など、必要な性能を整理してから材質を検討します。過剰な性能は不要なコスト増につながるため、適切なレベルの材料選びが重要なんです。

 

自動車部品では耐熱性と機械的強度が重要で、PPSやPEEKが選ばれることが多いです。電子部品では電気絶縁性と難燃性が重視され、LCPやPPSが適しています。医療機器では生体適合性と滅菌耐性が必要で、PEEKが最適な選択ですね。

性能要件の確認

性能要件の確認では、具体的な数値基準を設定することが重要です。

 

確認すべき主要な性能要件は以下になります。

主要性能要件
連続使用温度
機械的強度(引張、曲げ)
耐薬品性
電気特性
難燃性(UL規格)

 

これらの要件を数値で明確にし、候補材料の物性データと照合して選択します。また、長期使用時の性能変化、環境ストレスに対する耐性も考慮する必要があります。実際の使用条件でのテストデータがあれば、より確実な選択が可能になるんです。

コスト検討のポイント

コスト検討では、材料費だけでなくトータルコストを考慮することが重要です。加工費、設備投資、メンテナンスコスト、製品寿命なども含めたライフサイクルコストで評価します。初期投資は高くても、長期的には経済的になる場合があります。

 

量産効果も重要な要素です。生産量が多い場合は、専用設備への投資が可能になり、単価を下げることができます。また、リサイクル性や廃棄コストも考慮する必要があります。環境負荷とコストの両面から、最適な材料選択を行うことが重要です。

まとめ

スーパーエンプラは、150℃以上の高温環境で使用できる高性能プラスチックです。優れた耐熱性、機械的強度、耐薬品性により、自動車、電子機器、医療機器、航空宇宙など幅広い分野で活用されています。

 

価格は汎用プラスチックの100倍以上と高額ですが、金属代替による軽量化やコスト削減効果により、トータルでは経済的になる場合が多くあります。EV化の進展により今後も市場拡大が続き、新技術の開発も活発に行われています。

 

適切な材料選択により、製品の性能向上とコスト最適化を実現できます。用途に応じた材質選択で、あなたの製品開発も次のレベルへ進めませんか?

お知らせ

最後まで、読んでいただき光栄です。私たち都市環境サービスは、プラスチックリサイクルに特化した会社です。フラフ燃料の製造や代替燃料に興味がある方、リサイクルの会社で働いてみたい方は、こちらのフォームから気軽にお問合せください。よろしくお願いします。

都市環境サービス,プラスチックリサイクル,前田 隆之

出典:

[1] 富士経済. (2022). 汎用エンプラ、スーパーエンプラの世界市場を調査. 富士経済グループ.