LCP樹脂とは?特徴から用途まで初心者向けに解説-都市環境サービス

皆さんこんにちは。今回のテーマは「LCP樹脂」です。スマートフォンや自動車の部品として使われているLCP樹脂、名前を聞いたことはあっても、どんな素材なのか知っている方は少ないのではないでしょうか。

 

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実はLCP樹脂は、熱くなっても溶けにくく、形が変わりにくいプラスチックなんです。私たちが毎日使っているスマホの中や、車の中、病院の機械など、いろいろな場所で活躍しています。本記事では、LCP樹脂がどんなものか、どこで使われているのか、どうやって作るのかを、わかりやすく説明していきます。

 

目次は以下の通りです。

 

① LCP樹脂とは何か
② LCP樹脂の特徴
③ 電子部品での使われ方
④ 自動車での使われ方
⑤ 医療分野での使われ方
⑥ 射出成形の方法
⑦ 加工時の注意点
⑧ 他の樹脂との違い
⑨ 価格と入手方法
⑩ 環境への影響

LCP樹脂は私たちの生活を便利にしてくれる大切な素材です。環境にも優しい使い方ができます。ぜひ最後まで読んでみてください。

LCP樹脂とは何か

LCP樹脂は「液晶ポリマー」という名前でも呼ばれる、特別なプラスチックです。普通のプラスチックとは違う性質を持っているので、大事な部品を作るときに使われます。ここではLCP樹脂の基本について見ていきましょう。

液晶ポリマーの基本

LCP樹脂は英語で「Liquid Crystal Polymer」といいます。日本語では液晶ポリマーと呼ばれます。液晶という言葉を聞くと、テレビやスマートフォンの画面を思い浮かべる方も多いでしょう。

 

LCP樹脂も液晶と同じように、分子が規則正しく並んでいます。分子というのは、物質を作っている小さな粒のことです。普通のプラスチックは、熱を加えると分子がバラバラに動き回ります。

 

でもLCP樹脂は、熱を加えて溶けても、分子がきれいに並んだままなんです。この性質が、LCP樹脂を強くて丈夫にしています。

溶融時の特殊な性質

LCP樹脂は、溶けているときでも分子がきちんと並んでいます。これを「液晶性」と呼びます。固まっているときだけでなく、溶けているときも分子が整列しているので、冷えて固まったあとも強さを保てるんです。

 

この特別な性質のおかげで、LCP樹脂は成形したあとに自然と強くなります。型に流し込んで製品を作ると、流れる方向に分子が並び、その方向がとても強くなります。だから、薄くても壊れにくい部品を作ることができるんです。

開発の歴史

LCP樹脂は1974年にアメリカの会社が開発しました。最初は写真のフィルムを研究しているときに生まれた素材で、そのあと、電子機器や自動車を作る会社が使い始めました。

 

日本でも1980年代から本格的に作られるようになり、今では世界中で毎年たくさん製造されています。特にスマホやパソコンなどの電子機器が小さく高性能になるにつれて、LCP樹脂を使いたいという会社が増えています。

 

開発されてから約50年が経った今でも、新しい使い道が次々と見つかっている注目の素材なんです。

LCP樹脂の意味

LCP樹脂の特徴

LCP樹脂には他のプラスチックにはない優れた性質がたくさんあります。これらの特徴が、いろいろな産業で使われる理由になっています。ここではLCP樹脂の主な特徴を詳しく見ていきましょう。

熱に強い性質

LCP樹脂の一番の特徴は、とても高い温度に耐えられることです。普通のプラスチックは100℃くらいで変形し始めますが、LCP樹脂は200℃を超える高温でも形を保つことができます。短い時間なら350℃まで耐えられますし、長く使う場合でも240℃の環境で安定して使えます。

 

この熱に強い性質のおかげで、エンジンルームなど高温になる場所でも使用できます。また、電子機器が出す熱にも強いので、スマートフォンの中の部品にも使われています。料理を温めるオーブンや電子レンジの近くで使う部品にも向いているんですよ。

寸法が変わりにくい

LCP樹脂は温度が変わっても、大きさがほとんど変わりません。普通のプラスチックは、温度が上がると膨らんで、温度が下がると縮みます。でもLCP樹脂は、この膨らんだり縮んだりする変化がとても小さいんです。

 

この性質は、精密な機械の部品を作るときにとても役立ちます。たとえば、スマホの中のコネクタという部品は、0.01ミリメートル単位の正確さが求められます。LCP樹脂なら、温度が変わっても大きさが変わらないので、いつも正確に動作します。また、金属と組み合わせて使うときも、膨張率が似ているので相性が良いです。

燃えにくい性質

LCP樹脂は火がつきにくく、燃え広がりにくい性質を持っています。これを「難燃性」といいます。万が一火がついても、火を離すと自然に消える性質があります。

 

この燃えにくい性質は、電気を使う製品にとって大切です。電気が流れる部分では、ショートや過熱で火が出る危険性があります。LCP樹脂を使うことで、火事のリスクを減らすことができるんです。また、燃えるときに有毒なガスがほとんど出ないので、安全性が高いと評価されています。

水を吸いにくい

LCP樹脂は水をほとんど吸いません。吸水率はわずか0.02%で、これは他のプラスチックと比べてもかなり低い数値です。普通のプラスチックは、湿気を吸うと膨らんだり、強度が落ちたりします。

 

LCP樹脂は水を吸わないので、湿気が多い場所でも性質が変わりません。雨の日でも晴れの日でも、同じように使えます。この特徴は、屋外で使う機器や、湿気の多い工場で使う部品に向いています。また、製品を作るときも、乾燥させる時間が短くて済むので、効率よく生産できます。

薄く加工できる

LCP樹脂は溶けたときの流れがとても良いので、薄い製品を作ることができます。普通のプラスチックでは作れないような、0.1ミリメートル以下の薄さでも成形できるんです。

 

この性質は、スマホやタブレットなど、薄くて軽い製品を作るときに役立ちます。たとえば、スマホのコネクタは、薄くても壊れない強さが必要です。LCP樹脂なら、薄くて丈夫な部品を作れるので、機器全体を小型化できます。また、薄い部品は材料が少なくて済むので、コストを抑えることにもつながります。

 

電子部品での使われ方

LCP樹脂は電子機器の中で、なくてはならない素材になっています。特に熱に強くて小さく作れる性質が評価されています。ここでは電子部品でどのように使われているかを見ていきましょう。

スマホのコネクタ

スマートフォンやタブレットの中には、たくさんのコネクタという部品が入っています。コネクタは電気を流すための接続部品です。基板と基板をつないだり、カメラやバッテリーをつないだりしています。

 

LCP樹脂は、このコネクタの材料として広く使われています。スマホは使っているときに熱くなりますが、LCP樹脂なら熱で変形しません。また、とても小さく精密に作れるので、薄型のスマホに最適です。実際、世界中のスマートフォンメーカーがLCP樹脂製のコネクタを採用しているんです。

リレーとスイッチ

リレーは電気回路のオンとオフを切り替える部品です。スイッチは人が押したり切り替えたりする部品です。どちらも電気を通したり止めたりするので、安全性が大切になります。

 

LCP樹脂は燃えにくいので、リレーやスイッチの材料に向いています。電気が流れるときに熱が発生しますが、LCP樹脂なら熱で溶けたり変形したりしません。また、長く使っても性質が変わらないので、何度もオンとオフを繰り返しても安心です。家電製品や産業機械のリレー、スイッチに多く使われています。

カメラモジュール

スマートフォンのカメラは、年々性能が良くなっています。カメラモジュールというのは、レンズやセンサーをまとめた部品のことです。この部品もLCP樹脂で作られることが増えています。

 

カメラモジュールには、レンズを支えるホルダーという部品があります。このホルダーは、熱で変形すると写真がぼやけてしまいます。LCP樹脂なら、熱や湿気で寸法が変わらないので、いつもきれいな写真が撮れます。また、黒い色のLCP樹脂を使うことで、余計な光を吸収して画質を良くすることもできるんです。

基板への応用

プリント基板は電子機器の心臓部です。部品を載せて電気を流すための板のことです。最近では、LCP樹脂を使った薄いフィルム状の基板が開発されています。LCP樹脂のフィルムは、曲げても壊れないという特徴があります。

 

これを「フレキシブル基板」といいます。スマホの折りたたみ画面や、ウェアラブル機器など、曲がる必要がある製品に使われています。また、電気信号の伝わりが速いので、高速通信にも向いています。5G通信の普及に伴い、LCP基板の需要が高まっているんです。

自動車での使われ方

自動車は高温になる場所が多く、部品には高い性能が求められます。LCP樹脂は軽くて強く、熱に強いので、自動車の様々な部分で活躍しています。ここでは自動車での使われ方を見ていきましょう。

エンジン周りの部品

エンジンルームは自動車の中で最も高温になる場所です。エンジンが動いているとき、200℃以上になることもあります。この過酷な環境でも使える素材が必要です。

 

LCP樹脂はエンジン周りの部品に使われています。たとえば、燃料を送るポンプの部品や、エアコンの冷媒を制御する弁などです。これらの部品は、以前は金属で作られていました。でもLCP樹脂に変えることで、軽くなって燃費が良くなります。また、金属と違ってサビないので、長持ちするんです。

電装部品

最近の自動車には、たくさんの電子機器が搭載されています。ナビゲーションシステム、安全装置、エンジン制御システムなど、電気で動く部品が増えています。

 

これらの電装部品のコネクタや端子にLCP樹脂が使われています。自動車は振動が多く、温度変化も激しい環境です。LCP樹脂なら、こうした過酷な条件でも壊れにくく、電気をしっかり流せます。

 

特にハイブリッド車や電気自動車では、大きな電流が流れるので、熱に強いLCP樹脂が重宝されているんです。

軽量化への貢献

自動車メーカーは、車を軽くすることで燃費を良くしようと努力しています。車が1キログラム軽くなると、燃費が約0.01リットル改善されると言われています。

 

LCP樹脂は金属よりずっと軽いので、金属部品をLCP樹脂に置き換えることで車全体を軽くできます。たとえば、ショックアブソーバーという部品の一部をLCP樹脂にすることで、約30%の軽量化に成功した例があります。環境に優しい車を作るために、LCP樹脂の役割は今後ますます大きくなるでしょう。

LCP樹脂.自動車での使われ方

医療分野での使われ方

医療の現場では、安全性と清潔さが何より大切です。LCP樹脂は体に安全で、消毒にも強いので、医療機器の材料として注目されています。ここでは医療分野での使われ方を見ていきましょう。

医療機器への応用

LCP樹脂は様々な医療機器に使われています。たとえば、内視鏡という体の中を見る機械の部品や、点滴の針を刺すときに使う器具などです。

 

最近では、金属の注射針をLCP樹脂で作る研究も進んでいます。厚さ0.015ミリメートルという極めて薄いLCP製の針を作ることができ、患者さんの痛みを減らせると期待されているんですよ。

 

また、使い捨てにできるので、感染症のリスクも下げられます。LCP樹脂なら、薄くても強度があるので、このような製品が実現できるんです。

滅菌処理に強い

医療機器は使う前に必ず滅菌しなければなりません。滅菌というのは、細菌やウイルスを完全に殺すことです。滅菌には高温の蒸気や放射線、薬品などが使われます。

 

普通のプラスチックは、滅菌処理を繰り返すと劣化してしまいます。でもLCP樹脂は熱や薬品に強いので、何度滅菌しても性質が変わりません。オートクレーブという121℃の高圧蒸気で滅菌する方法でも、LCP樹脂なら変形しません。だから、繰り返し使う医療器具の材料として最適なんです。

体に安全な素材

医療機器に使う材料は、体に触れても安全でなければなりません。有害な物質が溶け出したり、アレルギーを起こしたりしないことが重要です。

 

LCP樹脂は化学的に安定していて、体に触れても安全だと認められています。体液に触れても有害な物質が出ないので、体内に入れるインプラント材料としても研究されています。また、LCP樹脂は表面がなめらかなので、細菌が付きにくいという特徴もあります。清潔さを保ちやすいので、医療現場で安心して使えます。

射出成形の方法

LCP樹脂の製品を作るとき、最もよく使われるのが射出成形という方法です。溶かした樹脂を型に流し込んで固める方法ですが、LCP樹脂には特有の注意点があります。ここでは射出成形の方法を詳しく説明します。

 

射出成形でLCP樹脂を加工する際は、いくつかの重要な工程があります。正しい手順を踏むことで、品質の良い製品を作ることができます。

原料の乾燥処理

LCP樹脂を成形する前に、必ず原料を乾燥させる必要があります。プラスチックの粒には、わずかに水分が含まれています。この水分を残したまま成形すると、製品に気泡ができたり、強度が落ちたりします。

 

LCP樹脂の乾燥条件は以下になります。

 

乾燥温度は140〜160℃
乾燥時間は3〜4時間
乾燥機はホッパードライヤーを使用
吸水率が0.02%と低いため短時間でOK

 

 

幸いなことに、LCP樹脂は水を吸いにくいので、乾燥は比較的簡単です。箱型の乾燥機やホッパードライヤーという設備で十分です。他のプラスチックと比べて、乾燥時間が短くて済むのも利点です。ただし、乾燥を怠ると品質に大きく影響するので、必ず決められた条件で乾燥させることが大切です。

温度設定のポイント

LCP樹脂を成形するときの温度設定は、とても重要です。温度が低すぎると樹脂が固くて型に流れ込まず、高すぎると樹脂が分解してしまいます。適切な温度で成形することが、良い製品を作る秘訣です。

 

成形時の温度設定は以下になります。

 

加熱筒温度は300〜400℃
金型温度は100〜150℃
ノズル温度は最も高く設定
各ゾーンで温度を段階的に上げる

 

LCP樹脂は非常に高い温度で成形します。加熱筒という樹脂を溶かす部分の温度は、一般的に300〜400℃に設定します。これは普通のプラスチックより100℃以上高い温度なんです。

 

また、金型の温度も100〜150℃と高めにします。高温なので、作業するときは火傷に注意が必要です。パージ作業という樹脂を排出する作業では、保護具を必ず着用しましょう。

金型の管理方法

LCP樹脂は流れが良いという特徴があります。これは薄い製品を作るときには便利ですが、金型の隙間から樹脂が漏れやすいということでもあります。金型をしっかり管理することが大切です。

 

金型管理のポイントは以下になります。

 

定期的な清掃が必須
パーティングラインの点検
ガス抜き穴の確認
バリの発生箇所をチェック

 

LCP樹脂は高流動性なので、金型の合わせ目から漏れてバリという不要な部分ができやすくなります。また、ガスが発生しやすいので、ガス抜き穴が詰まっていないか確認が必要なんですよ。

 

生産を始める前と、定期的に金型の点検とメンテナンスを行うことで、安定した品質の製品を作り続けることができます。

加工時の注意点

LCP樹脂は優れた性質を持つ素材ですが、加工するときにはいくつか気をつけるべきポイントがあります。これらを知っておくことで、トラブルを避けられます。ここでは加工時の主な注意点を見ていきましょう。

バリが出やすい

LCP樹脂は溶けたときの流れがとても良いです。この性質は薄い製品を作るときには便利ですが、同時にバリが出やすいという問題も起こします。バリというのは、製品のふちに余分な樹脂がはみ出したもののことです。

 

LCP樹脂は普通のプラスチックより流動性が高いので、金型のわずかな隙間にも入り込んでしまいます。バリができると、製品の見た目が悪くなるだけでなく、精密な部品では機能に影響することもあるんですよ。

 

バリを防ぐには、金型の精度を高めることと、射出圧力を適切に調整することが大切です。また、定期的に金型を点検して、摩耗していないか確認しましょう。

ガスの発生対策

LCP樹脂を成形するときは、ガスが発生しやすいという特徴があります。高温で成形するため、樹脂の一部が分解してガスが出るのです。このガスが製品に閉じ込められると、気泡ができたり、表面が曇ったりします。

 

ガスは型の最後に充填される部分に溜まりやすくなります。だから、金型にはガス抜き穴をしっかり設けることが重要です。ガス抜き穴が詰まっていると、ガスが逃げられずに製品の中に残ってしまうんです。

 

成形の前後には、ガス抜き穴が正常に機能しているか確認しましょう。また、成形温度が高すぎるとガスが多く発生するので、適切な温度管理も大切です。

高温での取り扱い

LCP樹脂の成形は300〜400℃という非常に高い温度で行います。これは鉄板を熱したときと同じくらいの温度です。この高温は、作業する人にとって危険が伴います。

 

パージ作業という、成形機から樹脂を排出する作業では、特に注意が必要です。高温の樹脂が飛び散ることがあるので、パージカバーをしっかり閉めて作業します。また、フェイスシールドや皮手袋などの保護具を必ず着用しましょう。

 

冷却されたばかりの製品も高温なので、素手で触らないようにします。安全第一で作業を進めることが、何より大切です。

他の樹脂との違い

LCP樹脂は他のプラスチックと比べて、どこが違うのでしょうか。性能や価格、使いやすさなど、様々な面で比較してみましょう。ここでは他の樹脂との違いを詳しく見ていきます。

スーパーエンプラとは

プラスチックは性能によって、いくつかの種類に分けられます。普通のプラスチックは「汎用プラスチック」、性能が高いものは「エンジニアリングプラスチック」、さらに高性能なものは「スーパーエンジニアリングプラスチック」と呼ばれます。

 

LCP樹脂はスーパーエンジニアリングプラスチック、略してスーパーエンプラに分類されます。スーパーエンプラは、150℃以上の高温でも長期間使える樹脂のことです。

 

LCP樹脂の他には、ポリイミドやポリエーテルエーテルケトンなどがあります。これらは特別な性能を持つ代わりに、価格も高くなります。

一般的な樹脂との比較

私たちの身の回りにある普通のプラスチック製品は、ポリエチレンやポリプロピレンで作られていることが多いです。これらの樹脂とLCP樹脂を比べてみましょう。

 

一般的な樹脂は、100℃程度で変形し始めます。でもLCP樹脂は200℃以上でも形を保てます。また、強度もLCP樹脂のほうがずっと高く、同じ厚さなら数倍の強さがあります。寸法の安定性も大きく違うんですよ。

 

普通のプラスチックは温度や湿度で膨らんだり縮んだりしますが、LCP樹脂はほとんど変化しません。このように、LCP樹脂は性能面で大きく優れています。

コストと性能

LCP樹脂は性能が良い分、値段も高くなります。普通のプラスチックが1キロ100円だとすると、LCP樹脂は1キロ500円から1000円くらいになります。つまり、5倍から10倍くらい高いんです。

 

この高い値段のせいで、LCP樹脂を使いたくても使えない場合があります。でも、本当に必要な部分だけLCP樹脂を使って、他の部分は安いプラスチックを使えば、お金を節約できます。

 

それに、LCP樹脂は薄くても丈夫なので、少ない量で済みます。だから、思ったより製品全体の値段は高くならないこともあるんです。

価格と入手方法

LCP樹脂を買いたいとき、どこで買えるのでしょうか。また、いくらくらいするのでしょうか。ここではLCP樹脂の値段や買い方について説明します。

 

LCP樹脂は日本の会社が作って売っています。住友化学という会社の「スミカスーパーLCP」、ポリプラスチックスという会社の「ラペロスLCP」、上野製薬という会社の「UENO LCP」などが有名です。これらの会社は、使い道に合わせて色々な種類のLCP樹脂を用意しています。

 

値段は種類によって違います。普通のタイプで、1キロあたり3000円から5000円くらいです。特別な機能を持つタイプや、ガラスの繊維を混ぜたタイプは、もっと高くなります。買うときは、プラスチックを専門に売っている会社に注文します。工場で製品を作る会社なら、メーカーに直接相談することもできます。

 

個人で少量を買うのは難しいですが、最近ではインターネット通販で小さな袋に入ったものを売っていることもあります。ただし、成形するには専用の機械が必要なので、趣味で使うのは簡単ではありません。

環境への影響

プラスチックは便利ですが、環境への影響が心配されています。LCP樹脂は環境に対してどうなのでしょうか。ここではLCP樹脂と環境の関係について見ていきましょう。

リサイクル性能

LCP樹脂の良いところは、リサイクルがしやすいことです。普通のプラスチックは、一度使ってから溶かして再利用すると、性能が落ちてしまいます。でもLCP樹脂は、リサイクルしても性能がほとんど下がらないんです。

 

これは、LCP樹脂の分子構造が安定しているからです。何度溶かして固めても、分子が壊れにくいので、新品と同じように使えます。実際に、工場で出た端材や不良品を溶かして、もう一度製品に使うことができます。

 

ただし、何度もリサイクルを繰り返すと、やはり少しずつ性能は落ちていきます。それでも、他のプラスチックよりリサイクルしやすいのは大きな利点です。

環境配慮の取り組み

LCP樹脂のメーカーは、環境に優しい製品づくりに取り組んでいます。製造するときに出る二酸化炭素を減らす努力をしたり、再生材料を混ぜた製品を開発したりしています。

 

また、LCP樹脂は長持ちするので、製品の寿命が長くなります。壊れにくく、長く使える製品を作ることで、ゴミを減らすことができます。さらに、LCP樹脂を使うことで部品を小さく軽くできるので、輸送するときの燃料も減らせます。自動車の部品に使えば、車が軽くなって燃費が良くなり、排気ガスも減ります。このように、間接的にも環境に貢献しているんです。

まとめ

LCP樹脂は、熱に強くて変形しにくい、とても優れたプラスチックです。スマートフォンのコネクタ、自動車のエンジン部品、医療機器など、私たちの生活を支える様々な製品に使われています。値段は高いですが、性能が必要な部分に使うことで、安全で長持ちする製品を作ることができます。

 

LCP樹脂はリサイクルしやすく、環境にも配慮できる素材です。今後は5G通信や電気自動車の普及によって、さらに需要が高まると予想されています。もし身の回りの製品で「LCP」という表示を見かけたら、それは高性能な部品が使われている証です。この記事を読んで、LCP樹脂について少しでも理解が深まれば幸いです。製品を選ぶときや、リサイクルするときに、この知識を役立ててください。

お知らせ

最後まで、読んでいただき光栄です。私たち都市環境サービスは、プラスチックリサイクルに特化した会社です。フラフ燃料の製造や代替燃料に興味がある方、リサイクルの会社で働いてみたい方は、こちらのフォームから気軽にお問合せください。よろしくお願いします。

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