企業理念

私たちは企業理念として、「環境と福祉の融合で日本を変える」を掲げています。この理念により全国のリサイクル率を向上させ、誰でも一緒に働ける居場所をつくることを目指しています。

環境と福祉の融合で日本を変えるー私たちの事業ー

当社は廃プラスチックのマテリアルリサイクルを核とした環境ソリューション事業と、就労継続支援A型事業所の運営を通じた福祉事業を展開しています。

事業の中核となるリサイクル工場では、プラスチック製品の選別・破砕・加工処理を実施。廃プラスチックの特性に応じた最適な処理を行うため、複数の工場でそれぞれ異なる素材を扱っています。

就労継続支援A型事業所では、発達障害や精神障害、知的障害など様々な特性を持つ方々を雇用しています。福祉施設にて、プラスチックの選別作業などに従事いただいています。作業を通じて技術を習得することで、一般就労へのステップアップも実現しています。

環境×福祉という新しい価値

環境事業と福祉の組み合わせは、一見すると異なる分野の取り組みに見えるかもしれません。しかし、この組み合わせこそが、新しい可能性を生み出すと私たちは考えています。

環境問題の解決には、技術だけでなく、人の力が必要です。一方で、福祉の分野では、多くの人々が活躍できる場を求めています。この二つのニーズを結びつけることで、社会により大きな価値を生み出すことができる。それが私たちの考える「環境と福祉の融合」の本質です。

現在、当社では従来は就労機会の少なかった方々に、やりがいのある仕事を提供することができています。それは、環境問題の解決と、社会的包摂を同時に実現する新しいビジネスモデルです。

ストーリー・優しさ・居場所をもたらす

世の中がストーリー性と優しさと居場所を求めているという認識のもと、私たちは会社を運営しています。その中で選んだ手段が、プラスチックのリサイクルと福祉の融合でした。

私たちの原点は、発達障害者や知的障害者との出会いにあります。あるコミュニケーション講座では 会話が苦手な人たち、表面的な付き合いはできても深い関係を築くことが難しい人たちが集まっていました。私が見る限り、参加者の半分以上が発達障害や知的障害など、様々なコミュニケーションの課題を抱えている人たちでした。

それでも、一生懸命に誰かと話し、誰かの話を聞こうとする。さらには講座が終わった後にも、カフェで交流をする。回すのが得意ではないから、メインとなる人がいないと、時には質問大会のようになることもあります。

しかし、私はそこに確かな温もりを感じました。残るも残らないも自由、それでも自主的にお金を払って、苦手なコミュニケーションを懸命に行う。彼らの姿を見て、私は気づきました。世の中には、居場所を求めている人がたくさんいるのだと。

そんな原体験から「孤立しがちな人達が、夢を持てる会社を作る」という目標を掲げました。

ただの雇用の場ではなく、コミュニケーションが苦手な人たちでも仕事ができる環境を整えていきたい。私は人生において、夢、あるいは目標(ストーリー)が必要だと考えています。目的や目標がなく、将来に不安を抱えている人がいたら、私の夢に賭けてほしい。そんな思いで、会社を運営しています。

仲間貢献から日本を変える

世の中がこれほど寂しい状況にあることに、私たちは強い危機感を持っています。生きづらさを抱えた人々が、本当に苦しい状況に追い込まれている。しかし、その現実の深刻さが社会に十分理解されていない。安易な解決策を提示する声が目立つ中で、本当に困っている人々の苦しみは、ますます見えにくくなっているのです。このような状況が続けば、日本の未来は危うくなってしまうでしょう。そんな危機感が、私たちの原動力となっています。

しかし、私たちが目指すのは、全ての人を助けることではありません。私たちは神様ではないからです。しかし、関わってくれた人たちは特別に大切にし、徹底的に支援する。社員一人一人の人生と向き合い、死ぬまで面倒を見る。それが私たちの企業理念の実践です。

この想いを形にするために、私がまず行動で示す。そうすることで、困った人を助けることが当たり前の文化として根付いていく。この小さな変化の積み重ねが、やがて社会全体を変えていく力になると信じています。

経営方針

「環境と福祉の融合で日本を変える」という理念を体現するべく、私たちは以下の3つの経営方針を掲げています。

①みんなが一緒に働ける社会を作る

私たちの理念を具現化する最も重要な取り組みが、多様な人材が共に働ける環境づくりです。年齢、性別、障害の有無、国籍など、どのような特性を持つ人であっても、その人らしく働ける場所を創出することを目指しています。

その根幹をなす事業が、就労継続支援A型事業所の運営です。精神障害や知的障害、ADHDなど、様々な特性を持つ方々と共に働いています。一般的な福祉施設でよく見られる軽作業ではなく、プラスチックの選別や破砕など、実際の製造現場で必要な専門的な作業に従事していただいています。

また、外国籍の従業員も多く在籍しており、現場のリーダーとして活躍している方もいます。年齢層も幅広く、それぞれの経験や特性を活かした役割を担っています。

大切にしているのは「本物の仕事」を提供することです。最低賃金以上の給与を保証し、一般企業と変わらない雇用契約を結んでいます。ここでの経験を活かして一般就労へステップアップする方も多く、それこそが私たちの目指す形です。

②挑戦し続ける会社を作る

私たちは、「できない」と思われることにあえて挑戦し続けることで、新しい可能性を切り開いてきました。失敗を恐れず、「とにかくやってみる」という姿勢。それが私たちのチャレンジ精神の本質です。成功率は打率3割程度ですが、失敗も新しい価値を生み出すきっかけとなっています。

私は社長として仕分け作業の現場に出て、作業工程を質問したり、作業員たちから意見をもらったりします。その中で、新しいリサイクル製品開発への挑戦を続けています。そして必ず、その試みの結果を現場に伝えに行きます。

これにより、成功すれば作業員たちは「俺があれを教えたんだよ」「俺が社長に言ったんだよ」と誇らしげに語ります。一方で、失敗した時は「社長何やってんだよ」「社長また失敗しやがった」と笑い飛ばせる関係性もできています。このように、責任は私にある中で挑戦をつづけ、ストーリーで社員・作業員たちを巻き込んでいく。それが私たちの目指す働き方です。

私たちは単に製品を作るだけでなく、共に考え、共に成長する物語を紡いでいきたいのです。社員には、私がプラスチックのことを真剣に考え、新しいことに挑戦する姿を見ていてほしい。そして、そこから働くことの意義を感じてほしい。諦めずに新しいことに挑戦する文化を、全員で創っていきたいと考えています。

③スピードと驚きで感動を産み出す会社をつくる

スピードと驚きで感動を産み出すという理念は、私たちのプロフェッショナリズムの本質を表しています。例えば、お客様から連絡があれば、「検討します」と言って時間を置くのではなく、すぐに現場に駆けつけます。

こうした即断即決の姿勢が、「もうやってくれたの?」「え?もう来てくれたの?」「そんなすぐじゃなくていいのに」といったお客様の感動や驚きにつながるのです。考え込んで時間を浪費するよりも、まず行動を起こし、その過程で最適な解決策を見出していく。この姿勢が、私たちのプロフェッショナリズムの根幹です。

スピードは努力で克服できる要素です。才能の差は簡単には埋められませんが、「素早く行動する」ということは、誰にでもできます。それは、年齢・性別・障害・国籍問わず、みんなが一緒に働ける社会を目指す私たちにとって最も基盤となる考え方なのです。

しかし、これは一般的な効率主義ではありません。安定力・正直さ・商品力を大切にしなければ、驚きと感動を与えることはできません。高い品質を担保したうえで、スピーディーに対応していく。その過程で本物の信頼が生まれると私たちは考えています。

これまでの取り組み

私たちの企業活動は、一つひとつの経験を活かしながら着実に発展してきました。これらの経験の積み重ねが、現在の企業活動の確かな基盤となっています。

就労継続支援A型事業所「ここのわ」の運営

プラスチックリサイクル事業の中核を担うのが、就労継続支援A型事業所「ここのわ」です。一般企業では働きづらさを感じる知的、精神、身体に障害のある方々に、雇用契約に基づく「本物の働く場」を提供しています。具体的な業務内容は以下の通りです。

・プラスチック製品の選別・分別作業
・CD/DVDの解体・リサイクル作業
・ペットボトルの仕分け作業
・発泡スチロールトレーの選別作業
・スーパー三和物流センターでの軽作業

就労までには5つのステップを設けており、職場見学、面談、職場体験などを通じて、仕事との相性や職場環境への適応を丁寧に確認していきます。これにより、利用者の方々は安心して就労を開始することができます。

他の福祉サービスと大きく異なる点は、必ず雇用契約を結び、都道府県の最低賃金以上を保証していることです。これにより、経済的自立への確かな一歩を踏み出すことができます。また、働きながら職場でのマナーや専門的な技術を習得し、最終的には都市環境サービス株式会社(グループ会社)や地域の企業への一般就労を目指していきます。

このように「ここのわ」は、障害のある方々の「働く」を支援しながら、環境・社会・経済の好循環を生み出す場として機能しています。

10箇所の工場を展開

リサイクルは、できるだけ移動距離を減らすべきだと考えています。例えば、同じ市内でも区ごとに異なる工場が対応しています。移動するだけでガソリン代がかかってしまうため、できる限り地域での処理を基本としているのです。

そのため、私たちはコンビニエンスストアのように、ドミナント戦略で地域を網羅していく必要があると考えています。現在、私たちは10箇所の工場を展開していますが、これには大きな理由があります。工場ごとに扱える素材が異なり、それぞれに特徴があるのです。各工場がその地域のニーズに応じた機能を持つことで、効率的なリサイクルが可能になります。

また、地域の障害者施設との協働も重要なポイントです。地域には多くの障害者施設がありますから、その施設の方々と協力することで、より良いリサイクルの仕組みが作れると考えています。具体的には、障害者施設で集めて分別していただき、それを私たちの拠点でリサイクル処理する。このような流れを作ることで、移動による環境負荷を減らしながら、効率的なリサイクルが実現できます。

このように地域特性に合わせた工場展開を進め、日本全国でのリサイクル率向上を目指しています。これは一般的な効率化ではなく、環境負荷を本質的に減らすための取り組みなのです。

リサイクル原料の売買/フラフ原料の製造・販売

プラスチックリサイクルの要となるのが、高品質なリサイクル原料の製造と、確かな流通ネットワークの構築です。私たちは国内外に独自の販売網を持ち、日本の文化や法規制を深く理解した上で、適切な再生処理とリサイクルの実現に取り組んでいます。

リサイクル原料の製造においては、ペットボトル、CD/DVD、発泡スチロール、PP・PE粉砕品、ストレッチフィルムの圧縮品など、様々な素材に対応しています。特に重要なのは、単なる買取・販売ではなく、お客様のニーズに合わせた最適なリサイクルプランを提案することです。例えば、異物混入や汚れがある場合でも、できる限り経済的なリサイクル方法を見出すよう努めています。

また、フラフ原料の製造・販売も手がけています。プラスチック廃材を細かく粉砕して製造されるフラフは、新たな製品の原料として、あるいは燃料として活用されます。品質管理を徹底し、用途に応じた適切な原料を提供することで、資源の有効活用に貢献しています。

ノベルティ制作への挑戦

ノベルティ制作では、「みんながやりたいけど実際お金がかかるしやらないよね」と思われることにあえて挑戦しています。魚網から高品質なバッグを製作する際は、有名ブランドCOACHのバッグをリスペクトし、リサイクル素材でもそれ以上の品質を目指しました。

軽さ、引っかかりの部分、ポケットの数など、細部にまでこだわり、リサイクル素材でここまでできるのかと驚くような製品を作り上げています。もちろん、100万円近くの大損は覚悟の上です。しかし、私たちはあえてそれを選びます。リサイクルで品質の高い製品を作ることで、世の中に新しい可能性を示したいと考えているからです。

一方で、あえてリサイクルではなく、真新しい素材でノートを作ることもあります。方眼タイプの新品ノートを作ったのは、純粋に私自身の文房具好きから生まれたアイデアでした。完全に新品で作る一貫性のないノベルティ。それでも、「いやそこはリサイクルじゃないのかよ!」といった驚きやコミュニケーションの余地が生まれます。そんな意外性のある挑戦も私たちらしさなのです。

未来への取り組み

私たちは過去の経験を活かしながら、より大きな社会変革を目指しています。全国展開というビジョンと、リサイクルに新しい価値を見出す試み、そして人々の居場所となる企業づくり。これらの取り組みを通じて、環境と福祉の融合による新しい社会の実現に向けて邁進していきます。

全国展開のビジョン

現在の事業モデルを全国に展開していくことが、私たちの大きな目標です。しかし、これはただの事業拡大ではありません。各地域の特性を活かしながら、リサイクル事業と福祉の融合を実現していくことを目指しています。

工場ネットワークの拡大においては、地域の障害者施設との連携を重視しています。それぞれの地域で、環境保護と福祉の好循環を生み出していきたいと考えています。また、地域ごとに異なる課題やニーズに対応できるよう、柔軟な事業展開を心がけています。

全国のリサイクル率を上げるために、各地域において力を貸してくれる方々を探しているところです。地域に根ざしたリサイクルの実現には、地域の施設との協力が不可欠だと考えています。

このビジョンの実現には、時間と努力が必要です。しかし、私たちは焦ることなく、一つ一つの地域で確実な成果を上げていくことを重視しています。それは、私たちの理念を着実に実現していく過程なのです。

リサイクルと福祉の価値を社会に伝える

私たちは現在、事業の意義や取り組みを社会により広く知ってもらうことを重要な課題として認識しています。プラスチックリサイクルと障害者雇用の融合という私たちの事業モデルは、社会に大きな価値を提供できる可能性を秘めていますが、現状ではその認知度は限定的なものにとどまっています。

世間一般では、リサイクル事業は「ゴミ屋さん」というイメージで捉えられがちです。しかし実際には、私たちは単に廃棄物を処理するのではなく、環境保護と福祉の両立という重要な社会的役割を担っています。この事実を効果的に発信していくことが、今後の大きな課題となっています。

その一環として、社員の方々にも自信を持って仕事に取り組んでほしいと考えています。燃やして埋め立てれば終わる素材を、手間をかけて選別し、新しい原料として再生する。この工程には大きな意味があり、それに携わる一人一人が誇りを持てる仕事なのです。

また、当社の事業モデルを他の地域にも広げていくためには、より多くの人々に私たちの取り組みを理解してもらう必要があります。特に、プラスチックリサイクルの可能性や、障害者雇用の新しい形について、効果的な情報発信の方法を模索しているところです。

リサイクルの新しいストーリーを創る

私たちは、リサイクルに「意味」と「ストーリー性」を持たせることで、より多くの人々の参加を促していきたいと考えています。例えば、ペットボトルのキャップのリサイクル。これが広く浸透したのは、「このキャップをリサイクルすることで、発展途上国の子どもたちにワクチンを届けることができる」という、誰もが共感できる意味が込められていたからです。

シンプルで分かりやすいストーリーがあれば、多くの人が自然に参加したくなるものです。複雑な仕組みや難しい説明は必要ありません。「ちょっとしたゴミの分別が、こんなに素晴らしいことにつながります」という、シンプルな物語が心を動かし、行動を促すきっかけとなるのです。

このように、意味のある物語を作り続けて、よりリサイクル率を上げていくのが私たちの使命です。リサイクルを特別な活動ではなく、日常生活の自然な一部として定着させていく。そのためには、一人一人が「自分にもできる」と感じられる仕組みづくりが重要です。

最後に

最終的に私たちが目指すのは、社会のあり方そのものを変えていくことです。環境と福祉の融合という新しいビジネスモデルを通じて、誰もが自分らしく生きていける社会の実現に貢献していきたいと考えています。

私はかつて、経営の危機の中で自らの命を絶とうと考えたことがありました。具体的に準備を進めていた時、工場の中で、古いソファーの上で昼食を取っていた作業員の方から

「俺らバカだからよくわかんねえけど、やってること間違ってないと思うぜ」
「人に遠慮しないで本気でやってみたら」

という言葉をかけられたのです。

その瞬間、私は涙が止まらなくなりました。当時、自分が軽視していた障害者や高齢者に、最も純粋な励ましの言葉をもらったのです。この経験から、私は決意しました。この生きづらい世の中で、いわゆる社会的弱者と呼ばれる人々が、死ぬまでプライドを持って働ける場所を作ろうと。

だからこそ、私たちは今後も挑戦を続けます。スピードと驚きで感動を生み出し、環境と福祉の融合を通じて、より良い社会の実現に向けて邁進していきます。共に歩んでくださる皆様に、心からの感謝を申し上げます。

環境都市サービス株式会社
代表取締役

前田隆之