ポリ塩化ビニル(pvc)とは?特徴と用途を分かりやすく解説-都市環境サービス

皆さんこんにちは。都市環境サービスの前田です。今回のテーマは「ポリ塩化ビニル(PVC)」です。水道管や建材、電線の被覆など、私たちの身近なさまざまな製品に使われているPVC。どのような特徴があり、なぜ幅広い用途に使われているのでしょうか?

 

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PVCは耐久性・加工性などに優れ、リサイクルも可能な環境に配慮できる素材なんです。特徴にあわせて適切な用途で使えば、長く安全に活用できる材料なんですよ。本記事では、PVCの基本から特徴、用途、加工方法までくわしく解説していきます。

 

PVCは私たちの暮らしを支える重要な素材です。ぜひ最後までご一読ください。

PVCの基本知識

まずは、PVCとは何かという基本的なところから見ていきましょう。素材の成り立ちや歴史を知ることで、より理解が深まります。

PVCとは何か

PVCとは「ポリ塩化ビニル」の英語表記「Polyvinyl Chloride」の頭文字を取った略称です。日本では「塩ビ」や「ビニール」とも呼ばれ、プラスチックの一種なんですよ。

 

世界で3番目に多く生産されているプラスチックで、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンと並んで「五大汎用樹脂」の一つに数えられています。汎用樹脂とは、「性能は特別高くないものの安価で生産量が多く、幅広い用途に使える樹脂」のことです。

 

PVCの基礎知識

 

PVCの特徴は、熱を加えると柔らかくなり、冷やすと固まる「熱可塑性プラスチック」である点です。そのため、さまざまな形に加工しやすく、多くの製品に利用されています。

PVCの歴史

PVCの歴史は意外と古く、1835年にフランスで初めて発見されました。しかし、当初は弱くてもろいという弱点があり、実用化は難しかったんです。

 

その後、1914年に改良が進み、1931年にドイツで工業化に成功しました。日本では1941年に「二ポリット」という商品名で、パイロット版として生産がスタートされました。

 

1950年頃にはアメリカからの技術導入により品質と生産量が大幅に向上し、1969年には生産量が100万トンに達しました。現在では日本は世界でも有数のPVC生産国となっており、私たちの生活に欠かせない素材として広く活用されています。

PVCの製造方法

PVCの原料は、他のプラスチックとは少し違った特徴があります。一般的なプラスチックは100%石油から作られますが、PVCは石油が約40%、塩素が約60%という構成になっているんです。

 

具体的には、具体的には、石油から取り出したエチレンと、食塩水に電気を流すことで取り出される塩素を反応させることで、PVCのもとになる「塩化ビニルモノマー」という物質ができます。モノマーとは、プラスチックなどを組み立てるための最小単位の小さなパーツのことです。

 

塩化ビニルモノマーを、水の中に細かい粒として散らばらせた状態で結びつけていく「懸濁重合法(けんだくじゅうごうほう)」という方法でPVCができあがります。この方法では、40〜60℃、数気圧(大気圧の数倍の圧力)という条件のもと、塩化ビニルを水の中で細かい粒にしながら結びつけていき、直径80〜200マイクロメートルほどの白い粉状の製品にします。

 

PVCの製造方法

PVCの特徴

PVCが幅広く使われている理由は、優れた特性を持っているからです。ここでは主な特性について詳しく見ていきましょう。

耐候性:紫外線に強く、劣化しにくい

PVCの最も優れた特性の一つが、紫外線に強く劣化しにくいことです。太陽光や気温の変化といった自然環境にさらされても、傷みにくい性質を持っています。

 

実際の調査では、自動車のPVC製外装部品を13年後に取り外して調べたところ、劣化がなく再び使えるほど状態がよかったという報告があるんですよ[1]。このように、PVCは紫外線による化学変化を起こしにくく、屋外で長期間使っても性能を保てる素材です。

耐水性:水に強く、劣化しにくい

PVCは水に非常に強い素材です。雨や雪、湿気に触れても劣化しにくいため、水道管や排水管などの水回りの設備に最適なんです。

 

PVC製の水道管を35年以上経過後に掘り起こして調べた調査でも、劣化していないことが確認されています[2]。吸水による膨張や強度低下も起こりにくく、屋外や地中に埋設される配管材としても長期間安定した性能を発揮するんですよ。

 

PVCの特徴,耐久性

耐薬品性:酸やアルカリなど薬品に強い

PVCは性質が安定していて、酸やアルカリ、塩、動植物油、アルコールなど、多くの薬品に対して劣化しにくい性質を持っています。

 

ただし、アセトンやトルエンなどの有機溶剤や、次亜塩素酸などの塩素を含む薬品には弱いという注意点があります。これらの物質に触れると、短時間で強度が落ちたり溶けたりすることがあるため、使う環境には配慮が必要なんですよ。

難燃性:燃えにくく、火災のリスクが低い

PVCは火に強い素材としても知られています。火がつきやすくなる温度が391℃、実際に燃え始める温度が455℃と非常に高く、紙や木材、ポリエチレンなどに比べて火がつきにくい性質を持っているんです[3]。

 

火元を離すと自然に消える自己消火性も備えていて、燃焼時の発熱量も小さいため、近くの材料に燃え広がりにくいんですよ。この難燃性の高さから、電線の被覆材や住宅建材など、安全性が求められる製品に広く使われています。

電気絶縁性:電気を通しにくい

PVCは電気を通しにくい性質も高く、電気の火花にも60〜800秒ほど耐えられるという優れた値を示すんですよ。

 

塩化ビニルよりも電気を通しにくい樹脂もありますが、PVCは燃えにくさと電気を通しにくい性質の両方を兼ね備えているため、電気関連の製品に適した素材なんです。

加工性:さまざまな形状に加工しやすい

PVCは、いろいろな形に加工しやすい素材です。「可塑剤(かそざい)」と呼ばれる添加剤の量を調整することで、硬さを自由に変えられ、一つの素材でさまざまな加工方法に対応できるのが大きなメリットなんですよ。

 

対応している加工方法は以下になります。

 

主な加工方法
射出成形
押出成形
カレンダー成形
ブロー成形
真空成形
ディッピング加工
切削加工

 

PVCは分子の中に塩素を含んでいるため、印刷や接着もしやすい素材なんです。色をつけるのも簡単で、透明なものから様々な色まで自由に作れます。外観や質感が重視される内装材や日用品、パッケージ資材など、デザイン性が求められる製品にも適しているんですよ。

 

PVCの6つの特徴

硬質・軟質PVCの違い

PVCには大きく分けて2つの種類があります。それぞれ性質が異なり、用途も変わってきますので、しっかり理解しておきましょう。

硬質PVCの特徴

硬質PVCは、可塑剤(かそざい)を含まない、または少量しか含まないタイプのPVCです。可塑剤とは、プラスチックを柔らかくする添加剤のことで、これを入れないことで硬くて強度の高い素材になります。

 

硬質PVCは手で曲げることができないほど硬く、機械的強度に優れています。比重は1.30〜1.58で、引張強さは34〜62MPa(メガパスカル)という高い値を示します。

軟質PVCの特徴

軟質PVCは、可塑剤を多く含むタイプのPVCです。可塑剤の量を調整することで、さまざまな柔らかさに調整できるのが大きな特徴なんです。

 

軟質PVCは多少厚みがあっても手で曲げられるほどの柔軟性があります。比重は1.16〜1.35で硬質PVCより軽く、引張強さは6.9〜25MPaとなっています。

 

硬質PVC,軟質PVC,違い

PVCの用途

PVCは私たちの生活のあらゆる場所で使われています。身近な製品から大規模なインフラまで、その用途を見ていきましょう。

建築資材での用途

建築分野では、PVCは欠かせない素材となっています。硬質PVCと軟質PVC、それぞれの特性を活かして幅広い建材に使われているんですよ。

 

硬質PVC
・上下水道管、電線管などのパイプ類(高い強度・耐久性・耐水性を活用)
・雨樋、波板
・窓枠、サッシ

 

これらは屋外で雨や紫外線にさらされますが、PVCの優れた耐候性により長期間メンテナンスフリーで使用できるんです。

 

軟質PVC
・床材(塩ビタイル。耐水性が高く掃除もしやすいため店舗や公共施設で多用)
・壁紙

 

建材としてのPVCは、コストパフォーマンスと機能性の両面で優れた選択肢となっています。

日用品での用途

私たちの身の回りの日用品にも、硬質・軟質どちらのPVCも数多く使われているんです。

 

硬質PVC
・下敷き
・クリアファイル

 

透明で丈夫なため、書類の保護や整理に最適なんですよ。

 

軟質PVC
・ビニール袋
・ラップフィルム
・消しゴム
・使い捨て手袋
・テーブルクロス
・レインコート
・傘

 

ラップフィルムは業務用に特に多く使用されており、透明性と密封性に優れています。使い捨て手袋はビニール手袋として知られ、安価で扱いやすいため食品加工や清掃作業など幅広い場面で活用されているんです。テーブルクロスやレインコート、傘も、PVCの耐水性を活かした製品といえます。

工業・医療製品での用途

工業・医療分野では、軟質PVCの優れた特性が様々な形で活用されているんですよ。

 

軟質PVC
・電線、ケーブルの被覆材
・農業用ビニールハウスのフィルム
・点滴バッグ、血液バッグ、医療用チューブ
・自動車の内装部品、ダッシュボード

 

電線やケーブルの被覆材は、電気絶縁性と難燃性を兼ね備えたPVCによって安全な電気配線を実現しています。ビニールハウス用フィルムは透明性が高く光を通しやすい上、耐候性に優れているため長期間の使用に耐えられるんです。医療分野でも柔軟性があり滅菌処理にも対応でき、薬品に対する耐性も高いことから、点滴バッグや血液バッグに適しています。

ファッションでの用途

ファッション業界でも、軟質PVCは注目を集めているんです。主に以下の用途で活用されています。

 

軟質PVC
・PVCレザー
・クリアバッグ
・靴、サンダル、ベルト、アクセサリー
・ソファーや椅子の合成皮革

 

PVCレザーは織物や編物にPVCをコーティングしたもので、革のような外観を持ちながら本革より安価で耐水性に優れているんです。近年人気のクリアバッグは透明なPVCフィルムで作られ、夏のファッションアイテムとして定着しました。

グッチやバーバリーなどの高級ブランドでも、PVC素材を使った製品が多く展開されています。ファッション分野でのPVCは、デザイン性と実用性を両立させる素材として評価されているんですよ。

PVCを用いる際の注意点

PVCには多くのメリットがありますが、使用する上でいくつか注意すべき点もあります。安全に使うためにしっかり理解しておきましょう。

熱に弱い性質

PVCの最も大きな弱点は、熱に弱いことです。一般的なPVCは約80℃で変形が始まるため、高温環境での使用には適していません。
そのため、PVC製の容器を電子レンジで加熱したり、熱湯に浸したりすることは避けなければなりません。熱によって変形するだけでなく、可塑剤が溶出する可能性もあります。

 

ただし、製造方法を工夫することで耐熱性を向上させることも可能です。低温で重合させて枝分かれが少ないポリマーを得たり、塩素含有量を増やしたりすることで、より熱に強いPVCを作ることができます。しかし、一般的な製品は80℃程度が使用限界と考えておくべきでしょう。

低温での脆さ

PVCは高温に弱いだけでなく、低温でも問題が生じます。特に低温域では耐衝撃性が低下し、脆くなって割れやすくなるんです。
寒冷地でPVC製品を使用する場合や、冷凍庫に入れる容器などには注意が必要です。衝撃を受けると簡単にひび割れたり、破損したりする可能性があります。

 

この問題を解決するため、ABSやMBSといった耐衝撃性改良樹脂をブレンドする方法があります。これらの強化剤を混合することで、低温でも衝撃に強いPVCを製造できます。用途によって衝撃を受ける可能性が高い場合は、耐衝撃性が改善されたPVC製品を選ぶことが大切です。

有機溶剤への弱さ

PVCは多くの薬品に強い素材ですが、有機溶剤には弱いという特徴があります。アセトン、トルエン、クロロベンゼンなどの特定の有機溶剤に接触すると、軟化したり腐食したり、場合によっては溶解してしまうことがあるんです。

 

次亜塩素酸などの塩素系化合物も、PVCを侵食する物質です。漂白剤などの塩素系洗剤をPVC製品に使用すると、短時間で強度が落ちる可能性があります。

 

そのため、PVC製品を清掃する際は、使用する洗剤の成分を確認することが重要です。有機溶剤や塩素系化合物が含まれていないか、必ずチェックしてください。基本的には、水や中性洗剤で拭き掃除をするのが最も安全な方法といえるでしょう。

 

PVCの主な弱点

PVCの加工方法

PVCはさまざまな加工方法に対応できる素材です。主な加工方法について、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

押出成形

押出成形は、PVCの代表的な加工方法の一つです。加熱して溶かしたPVCを、口金と呼ばれる金型から押し出して成形する方法で、連続的に製品を作ることができるんです

 

この方法は、パイプや板、シートなど、断面形状が一定の製品を製造するのに適しています。口金の形状を変えることで、さまざまな断面形状の製品を作ることが可能です。

 

押出成形のメリットは、同一形状の製品を大量に連続生産できることと、使用する金型が比較的単純なため初期コストを抑えられることです。上下水道管や電線の被覆材、チューブなど、多くのPVC製品がこの方法で作られています。ただし、複雑な形状の製品には向いていないという制約があります。

射出成形

射出成形は、複雑な形状の製品を製造するのに適した加工方法です。加熱して溶かしたPVCを、金型のキャビティ(空間)に高圧で射出して成形します。

 

この方法の最大の特徴は、立体的で複雑な形状の製品を精度高く製造できることです。製品のサイズも、小さなものから大きなものまで幅広く対応可能なんですよ。

 

射出成形は大量生産に向いており、一度金型を作れば同じ製品を繰り返し効率的に製造できます。継手、バルブ、各種部品など、精密な形状が求められる製品に使用されます。ただし、金型の製作コストが高いため、大量生産でないとコストメリットが出にくいという面もあります。

カレンダー成形

カレンダー成形は、フィルムやシート、板など、平らで幅広な製品を製造する方法です。圧延加工とも呼ばれ、熱したロールの間に材料を通して圧延し、最後に冷却ロールで厚みを調整します。

 

この方法は、ビニールシートや床材、壁紙、レザー(合成皮革)など、薄く広い製品の製造に最適です。複数のロールを使って連続的に加工できるため、生産効率が高いんです。

 

カレンダー成形で作られたPVCシートは、さらに他の加工を施すこともできます。例えば、エンボス加工で模様をつけたり、印刷を施したりすることで、様々なデザインの製品を作ることが可能です。ビニールハウス用のフィルムや、農業用のビニールシートなども、この方法で製造されています。

 

PVCの加工方法

PVCの環境への配慮

環境問題が重視される現代において、PVCの環境への影響は重要なテーマです。ここでは現在の取り組みや状況を詳しく見ていきましょう。

環境問題と現状

かつて、PVCは焼却時に環境汚染物質である「ダイオキシン」が発生する可能性があるとして問題視されていました。1990年代から2000年代初頭にかけて、PVCの使用を控える動きが広がった時期もあったんです。

 

しかし、実際には塩素を含むゴミを低温で燃やすとダイオキシンが発生しやすく、高温で燃やすと発生しにくいことが判明しました。現在の焼却炉は高温処理が可能になっており、適切な施設で処理すればダイオキシンの問題は解決されています。

 

また、2022年4月には「プラスチック資源循環促進法」が施行され、企業によるプラスチック使用の合理化や分別・リサイクルが強く求められるようになりました。PVCも含めたプラスチック全体で、循環型社会の実現に向けた取り組みが進んでいます。

可塑剤の安全性

軟質PVCに使用される可塑剤についても、安全性が議論されてきました。特にフタル酸エステルと呼ばれる可塑剤が、環境ホルモンではないかと懸念されたことがあります。

 

2000年頃、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)などのフタル酸エステルが、油脂を含んだ食品中に溶け出す可能性が指摘されました。このため、食品が直接触れる容器や包装への使用が制限されるようになったんです。

 

また、3歳以下の乳幼児が口に接触することが想定されるおもちゃについても、フタル酸エステルを含むPVCの使用が制限されています。その後、2003年の環境省検討会において、フタル酸エステルには環境ホルモン様作用が確認されなかったと報告されましたが、予防的観点から規制は継続されています。現在は「非フタル酸」と表示された、より安全な可塑剤を使用した製品も増えています。

まとめ

PVCは、私たちの暮らしのあらゆる場面で活躍している重要な素材です。水道管から日用品、ファッションアイテムまで、その用途は実に多様なんですよ。

 

PVCは決して「使い捨て」ではなく、適切にリサイクルすることで循環型社会に貢献できる素材なんです。製品を選ぶ際は、用途に合った種類を選び、リサイクルマークを確認して、使い終わった後も正しく分別することを心がけましょう。一人ひとりの意識と行動が、持続可能な社会の実現につながります。

お知らせ

最後まで、読んでいただき光栄です。私たち都市環境サービスは、プラスチックリサイクルに特化した会社です。フラフ燃料の製造や代替燃料に興味がある方、リサイクルの会社で働いてみたい方は、こちらのフォームから気軽にお問合せください。よろしくお願いします。

都市環境サービス,プラスチックリサイクル,前田 隆之

出典:

[1] 塩ビ工業・環境協会 (2005). 塩ビについて理解を深めていただくために.