産業廃棄物マニフェストの保管期間は5年!票ごとの起算日と管理方法

皆さんこんにちは。都市環境サービスの前田です。今回のテーマは「産業廃棄物マニフェストの保管期間」です。会社から出る産業廃棄物を処理業者に委託する際に必ず交付するマニフェスト、その書類を何年間保管すればいいか知っていますか?

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実はマニフェストには法律で決められた保管期間があり、これを守らないと罰則の対象になってしまうんです。しかも票の種類ごとに保管期間の数え方が違うので、正しく理解しておく必要があります。本記事では、マニフェストの保管期間について、各票の違いから具体的な管理方法まで詳しく解説していきます。

目次は以下の通りです。

①マニフェストの保管期間
②各票の保管ルール
③返送期限と確認義務
④マニフェスト紛失時の対処法
⑤紙マニフェストの保管方法
⑥電子マニフェストの特徴
⑦保管義務違反の罰則
⑧電子化のメリット

マニフェストの適切な保管は、企業の法令遵守と廃棄物の適正処理を支える重要な仕組みなんです。ぜひ最後までご一読ください。

マニフェストの保管期間

産業廃棄物を処理業者に委託する際に交付するマニフェストには、法律で定められた保管期間があります。ここではマニフェストの基本的な保管期間について見ていきましょう。

保管期間は5年間

マニフェストの保管期間は、廃棄物処理法で5年間と定められています[1]。これはA票からE票まで、すべてのマニフェストに共通する保管期間なんです。

この5年間という期間は、万が一不適正な処理が行われた場合に、その責任の所在を明らかにするために設けられています。マニフェストは産業廃棄物がどのように運搬され、どこで処理されたのかを記録する重要な証拠書類だからです。

保管期間を守らずにマニフェストを破棄してしまうと、保管義務違反として罰則の対象になります。たとえ実際の廃棄物処理が適正に行われていたとしても、書類がなければそれを証明できません。

A票とB票以降で異なる起算日

マニフェストの保管期間は同じ5年間ですが、いつから数え始めるのかという起算日が票によって異なります[1]。この点を理解していないと、保管期間を間違えてしまうので注意が必要です。

A票については、マニフェストを交付した日から5年間の保管が必要になります。つまり、排出事業者が収集運搬業者に産業廃棄物を引き渡して、マニフェストを渡した日が起算日です。

一方、B2票、D票、E票については、それぞれの票を受け取った日から5年間の保管義務があります。これらの票は処理業者から返送されてくるものなので、手元に戻ってきた日が保管期間の始まりになるんです。

E票の受取日を基準にする理由

実務上は、E票の受取日を基準にして5年間保管することをおすすめします。これにはちゃんとした理由があります。

E票は最終処分が完了したことを確認する票で、交付日から180日以内に返送されることになっています。つまり、一連のマニフェストの中で最も遅く手元に戻ってくる書類なんです。

もしA票の交付日だけを基準にして保管期間を管理していると、E票はまだ5年経っていないのに廃棄してしまう可能性があります。E票の受取日を基準にすれば、すべての票をまとめて保管でき、管理も簡単になります。

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各票の保管ルール

マニフェストは複数の票に分かれており、それぞれ保管する事業者が決まっています。ここでは各票の保管ルールについて詳しく見ていきましょう。

排出事業者が保管する票

排出事業者が保管しなければならないマニフェストは以下になります。

A票
B2票
D票
E票

A票は産業廃棄物を引き渡す際に控えとして手元に残る票です。この票には、いつ、どこで、どんな産業廃棄物を、どの業者に委託したのかが記載されています。

B2票は収集運搬業者から返送される票で、廃棄物の運搬が完了したことを確認する書類です。D票は中間処理が完了したことを示す票、E票は最終処分まで完了したことを証明する票になります。

これら4種類の票を揃えることで、排出事業者は委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたことを確認できる仕組みなんです。

運搬業者が保管する票

収集運搬業者が保管するマニフェストは以下になります。

B1票
C2票

B1票は収集運搬業者の控えで、運搬業務を受託したことと運搬が完了したことを記録する書類です。この票には運搬した日時、運搬先、運搬担当者などの情報が記載されます。

C2票は処分業者から返送される票で、収集運搬業者が処分業者に産業廃棄物を引き渡したことを証明します。これによって運搬業者は、自分が運んだ廃棄物が確実に処分業者に届いたことを確認できるわけです。

処分業者が保管する票

処分業者が保管するマニフェストは以下になります。

C1票

C1票は処分業者の控えとして保管される票です。この票には、いつ産業廃棄物を受け取り、どのような方法で処分したのかが記録されます。

処分業者はC1票を保管することで、委託を受けた産業廃棄物を適正に処分したことを証明できます。また処分終了後は、D票とE票に必要事項を記入して排出事業者に返送する義務があります。

このように、マニフェストは各事業者がそれぞれ必要な票を保管することで、産業廃棄物の処理の流れ全体を記録する仕組みになっているんです。

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返送期限と確認義務

マニフェストには返送期限が定められており、排出事業者は期限内に票が返ってくるか確認する義務があります。ここでは返送期限の詳細を見ていきましょう。

B2票とD票は90日以内

B2票とD票の返送期限は、マニフェストを交付した日から90日以内です。ただし特別管理産業廃棄物の場合、D票の返送期限は60日以内になります。

B2票は収集運搬業者が産業廃棄物を運搬し終わったことを示す票です。通常の運搬作業は数日から数週間で完了するため、90日以内に返送されるのが一般的です。

D票は中間処理業者が処分を完了したことを証明する票になります。中間処理には破砕や焼却などの作業があり、運搬よりも時間がかかりますが、それでも90日以内には処理が完了するよう定められているんです。

E票は180日以内

E票の返送期限は、マニフェストを交付した日から180日以内と定められています[2]。これは他の票よりも長い期限が設定されているんです。

E票は最終処分が完了したことを確認する票です。中間処理を経た産業廃棄物が最終処分場に運ばれ、埋め立てなどの最終処分が行われるまでには、かなりの時間がかかります。

そのため、E票の返送期限は180日という長めの期間が設けられています。ただし、実際には最終処分まで半年近くかかるケースもあるため、E票の管理には特に注意が必要です。

期限内に返送されない場合

もし期限内にマニフェストが返送されない場合、排出事業者は速やかに対応する必要があります[1]。これは法律で定められた義務なんです。

まず処理業者に連絡して、産業廃棄物の運搬や処分の状況を確認します。その上で、生活環境の保全上必要な措置を講じなければなりません。

さらに、状況を確認してから30日以内に、都道府県知事に対して「措置内容等報告書」を提出する義務があります[1]。この報告を怠ると、別途罰則の対象になる可能性があるので注意が必要です。

マニフェスト紛失時の対処法

マニフェストは長期間の保管が必要なため、紛失してしまうリスクがあります。ここでは万が一紛失した場合の対処法を解説します。

再発行ができない理由

マニフェストを紛失しても、原則として再発行は認められていません。この理由を理解しておくことが大切です。

もし再発行を認めてしまうと、同じ産業廃棄物の処理に対して2つのマニフェストが存在することになります。これでは、どちらが本当の記録なのか分からなくなってしまいます。

また、紛失したマニフェストをそのまま破棄してしまうと、保管義務違反になります。さらに、新しいマニフェストの内容が元の記録と異なっていれば、虚偽記載とみなされる可能性もあるんです。

コピーでの代用方法

マニフェストを紛失した場合、他の事業者が保管している票のコピーで代用することができます。代用できる票の組み合わせは以下になります。

A票→B1票
B2票→B1票
D票→C1票
E票→C1票

たとえばA票を紛失した場合は、収集運搬業者に連絡してB1票のコピーを送ってもらいます。B1票とA票は同じ内容が記載されているため、コピーで代用できるわけです。

D票やE票を紛失した場合は、処分業者が保管しているC1票のコピーで代用します。処分業者に連絡して、速やかにコピーを送ってもらうことが重要です。

紛失時の記録の残し方

コピーで代用する際は、紛失の経緯をきちんと記録しておくことが大切です。後で行政の確認が入った際に、スムーズに説明できるようにしておきましょう。

コピーした書類には、分かりやすく印をつけておきます。「原本紛失のためコピーで代用」といった文言を記載しておくと良いでしょう。

また、いつ紛失に気づいたのか、どのような対応を取ったのかを記録として残しておきます。紛失が発覚したら、できるだけ早く業者に連絡してコピーを入手することが、保管義務違反を防ぐポイントです。

紙マニフェストの保管方法

紙のマニフェストは5年間という長期間の保管が必要です。ここでは効率的で確実な保管方法を紹介します。

ファイリングの基本

紙マニフェストの保管で最も重要なのは、必要な時にすぐ取り出せるよう整理しておくことです。基本的なファイリング方法を実践しましょう。

マニフェストは複写式になっているため、裏面が汚れやすくなっています。そのため、表紙を付けて綴じることで、書類を保護できます。

ボール紙などの厚紙を表紙にして、綴じ紐で固定する方法が一般的です。バインダーで保管する方法もあり、オフィス用品店ではマニフェスト専用のファイルも販売されています。

月ごとの整理方法

大量のマニフェストを管理する場合は、月ごとに整理する方法が効果的です。月単位で区切ることで、後から探す際の手間が大幅に減ります。

まず、その月に交付したマニフェストを1つのファイルにまとめます。ファイルの表紙には、年月と取引先名を明記しておくと分かりやすくなります。

返送されてきたB2票、D票、E票は、該当するA票と一緒にファイリングします。E票が返ってくるまでには時間がかかるため、返送され次第追加で綴じていく形になります。

電子マニフェストの特徴

近年普及が進んでいる電子マニフェストには、紙とは異なる特徴があります。ここでは電子マニフェストの保管に関する特徴を見ていきましょう。

保管義務が不要になる仕組み

電子マニフェストの大きな特徴は、排出事業者や処理業者に保管義務がないということです。これは紙マニフェストとの決定的な違いなんです。

電子マニフェストのデータは、日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が運営する情報処理センターに保存されます。つまり、各事業者が個別に保管する必要がないわけです。

ただし、データ自体は5年間保存されています。各事業者は必要に応じて、情報処理センターからデータを閲覧したりダウンロードしたりできるようになっています。

情報処理センターでの管理

電子マニフェストのデータは、JWNETという専用システムで一元管理されています。このシステムには排出事業者、収集運搬業者、処分業者がそれぞれ加入します。

排出事業者がシステムにマニフェスト情報を登録すると、収集運搬業者や処分業者がその情報を確認できます。処理が完了したら、業者はシステム上で終了報告を行います。

すべての情報は情報処理センターのサーバーに保存されるため、紛失の心配がありません。また、パソコンやスマートフォンから、いつでも必要な情報を検索して確認できます。

行政報告が不要

紙マニフェストを使用している場合、排出事業者は年に1回、都道府県知事などに「マニフェスト交付等状況報告書」を提出する義務があります[2]

しかし電子マニフェストを利用している場合、この報告は不要になります[2]。情報処理センターが排出事業者に代わって、自治体に報告を行ってくれるからです。

この仕組みによって、排出事業者の事務負担が大幅に軽減されます。報告書の作成や提出の手間がなくなるのは、電子マニフェストの大きなメリットの1つです。

保管義務違反の罰則

マニフェストの保管義務に違反すると、厳しい罰則が科せられます。ここでは具体的な罰則内容を見ていきましょう。

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

マニフェストの保管義務違反は、廃棄物処理法違反として刑事罰の対象になります。罰則の内容は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です[3]

この罰則は、マニフェストを保管していなかった場合だけでなく、虚偽の記載をした場合、マニフェストを交付しなかった場合にも適用されます。

また、法人の従業員が違反した場合、従業員本人だけでなく法人に対しても罰金刑が科せられる可能性があります。これを両罰規定といい、企業全体の責任が問われるんです。

措置命令の可能性

保管義務違反だけでなく、不適正な処理が行われた場合には、都道府県知事から措置命令が出されることがあります[3]

措置命令とは、不法投棄された産業廃棄物の除去など、生活環境の保全上必要な措置を講じるよう命じられるものです。違反した排出事業者は、自らの費用で廃棄物を撤去しなければなりません。

さらに措置命令に従わなかった場合、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます[3]。保管義務違反よりもはるかに重い罰則です。

実際の摘発事例

過去には、マニフェストの保管義務違反で実際に摘発された事例があります。たとえば、5年の保管期間が満了していないのにマニフェストを廃棄したとして、書類送検された排出事業者がいます。

この事業者は「帳簿に記録しているから大丈夫」と判断して、原本を処分してしまいました。しかし法律では原本の保管が義務付けられているため、保管義務違反とされたのです。

このように、故意ではなくても、マニフェストの管理を誤ると罰則の対象になる可能性があります。適切な保管方法を理解し、確実に実践することが重要なんです。

電子化のメリット

電子マニフェストへの移行には、保管義務の軽減以外にも多くのメリットがあります。ここでは主な利点を見ていきましょう。

紛失リスクがなくなる

電子マニフェストの最大のメリットは、書類を紛失するリスクが完全になくなることです。これは紙マニフェストの大きな課題を解決してくれます。

紙のマニフェストは、複数の事業者間で郵送されるため、配送途中で紛失したり、社内で保管中に見つからなくなったりする可能性があります。

電子マニフェストなら、すべてのデータがシステム上で管理されます。情報処理センターのサーバーに保存されているため、物理的に失くなる心配がないんです。

保管スペースが不要

紙マニフェストの場合、5年分の書類を保管するために、かなりのスペースが必要になります。特に産業廃棄物の排出量が多い事業所では、保管場所の確保が大きな負担です。

電子マニフェストなら、物理的な保管スペースが一切不要になります。データはすべてシステム上に保存されているため、書類を置くための棚や部屋を用意する必要がありません。

オフィスのスペースを有効活用できるようになり、保管に関する管理の手間も大幅に削減できます。これは特に小規模な事業所にとって大きなメリットです。

記入漏れの防止

電子マニフェストのシステムには、入力漏れを防ぐ機能が組み込まれています。必須項目が入力されていないと、登録や報告ができない仕組みになっているんです。

紙マニフェストの場合、手書きで記入するため、記載漏れや記入ミスが起こりやすくなります。こうしたミスも、場合によっては虚偽記載として罰則の対象になる可能性があります。

電子マニフェストなら、システムが自動的にチェックしてくれるため、記入ミスによる法令違反のリスクを大幅に減らせます。コンプライアンスの観点からも、大きなメリットといえるでしょう。

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まとめ

産業廃棄物マニフェストの保管期間は5年間と法律で定められており、A票は交付日から、その他の票は受取日からそれぞれ5年間保管する必要があります。実務上はE票の受取日を基準にすることで、すべての票をまとめて管理できます。

マニフェストを紛失した場合は再発行ができないため、他の業者が保管している票のコピーで代用しなければなりません。紙マニフェストは月ごとにファイリングし、専用の保管場所を確保することが大切です。

保管義務に違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。電子マニフェストに移行すれば、保管義務がなくなり、紛失リスクもゼロになります。

マニフェストの適切な保管は、企業の法令遵守だけでなく、産業廃棄物の適正処理を支える重要な基盤です。自社に合った管理方法を確立し、確実に運用していきましょう。電子化も検討しながら、より効率的な管理体制を目指してください。

出典:

[1] 公益社団法人 全国産業資源循環連合会. マニフェストの管理運用. 全国産業資源循環連合会
[2] 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター. マニフェスト交付等状況報告書. 日本産業廃棄物処理振興センター
[3] 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター. 措置命令と罰則. 日本産業廃棄物処理振興センター